最新記事

アメリカ政治

トランプ政権の新補佐官ボルトン デスクに手投げ弾を置く超タカ派

2018年3月27日(火)17時33分


目が回るほどの課題の山

国家安全保障問題担当の大統領補佐官ポストは、議会承認は必要ない。補佐官として、ボルトン氏は数百人いるホワイトハウスの国家安全保障担当の専門家を監督することになる。これら専門家の多くは、国防総省や国務省、米情報機関から集められている。

過激組織「イスラム国(IS)」や国際武装組織アルカイダの掃討から、中国の軍事・経済力強化まで、目が回るほど多くの課題についてトランプ大統領に助言を行うのが彼の責務だ。

ソウルでは、保守議員Kim Hack-yong氏が、米朝首脳会談を控えたこの時期に、ボルトン氏が指名されたことに懸念を表明した。

「心配なニュースだ。北朝鮮と米国は対話する必要があるが、(ボルトン氏就任で)会談が本当に実現するのか懸念が増す一方だ」と同議員は危惧した。「ボルトン氏が就任し、北朝鮮との対話がひっくり返って悪い結果を招いたら、どうしたらよいか分からない」

ホワイトハウスにイラン政策について助言する米シンクタンク「民主主義防衛基金」のマーク・デュボビッツ会長は、もし英仏独の3国が、5月中旬までにトランプ氏の要求に合致するイラン核開発を巡る新たな制限をまとめられない場合、ボルトン氏はイラン核合意の破棄を支持するだろうと予想する。

「イラン核合意を巡り、私が長い間推奨してきた修正案は、たったいま非業の死を遂げたかもしれない」と、デュボビッツ氏は言う。同氏は、イラン合意の「致命的な欠陥」を修正して合意維持することを主張していた。

ボルトン氏はこれまで、イスラエルの米大使館をエルサレムに移転するトランプ氏の計画を称賛し、キューバにあるグアンタナモ基地の収容施設の維持を主張。中国政府が自国の一部とみなす台湾に対する支援強化によって、中国への圧力を高めるよう提案している。

ツイッターの内容から判断する限り、ボルトン氏は、ロシアに対しては新しい上司となるトランプ大統領よりも「タカ派」なようだ。

2016年の米大統領選でトランプ陣営がロシア政府と癒着した疑惑を一蹴する一方で、ロシアによる同選挙への介入疑惑については声高に批判している。

ロシアのプーチン大統領が新たな核兵器を1日発表した際、ボルトン氏はトレードマークになっている好戦的な表現で反発した。

「ロシアの新しい核ミサイルには戦略的に対応し、ロシアのいいようにはさせないということを、欧州の同盟国に示さなくてはならない」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Warren Strobel

[ワシントン 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中