最新記事

日本政治

トランプに「ノー」と言えない安倍首相 森友問題の火消しに外交は有効か?

2018年3月27日(火)09時29分
ダニエル・スナイダー(スタンフォード大学教授)※東洋経済オンラインより転載

安倍首相が、「友人」のトランプ大統領に強く出られない理由とは?(写真:Kim Kyung-Hoon/ロイター)


1年半の間、安倍晋三首相は、ドナルド・トランプ米大統領との親密な関係を構築することに成功してきた。安倍首相は、先の読めない大統領と、世界のリーダーの中で最も確固たる友人関係を築くことへの批判も、ものともしてこなかった。

しかし、この戦略が正念場を迎えている。貿易や北朝鮮問題といった複数の面で、トランプ大統領は日本の国益に直接負の影響を及ぼすような措置を進めているからだ。日本が支援しているイランの核問題から撤退する決定を5月半ばに行うことや、日本に米国との二国間自由貿易協定締結の交渉を強く迫る姿勢を示すなど、今後もさらに行動が「悪化」する可能性がある。

トランプ大統領とうまくやるためには

現在、安倍首相が直面している問題は、トランプ大統領に対して、1980年代に出版された有名な書籍のタイトルのように、「ノー」と言えるか、である。これは容易ではないだろう。

「トランプ氏が大統領選に勝利した直後に、ニューヨークの五番街に彼が所有するトランプタワーを初めて訪れた瞬間から、安倍首相と政権幹部はいかなる状況でもトランプ氏に対して『ノー』と言わないことが、うまくやっていくための最も重要なことだということを理解している」と日本のあるベテランのジャーナリストは話す。

また、ここ数週間のトランプ政権の人事の入れ替えが示すように、トランプ大統領は反対されることを好まない。その結果、同大統領に異論を唱える人々は排除され、「イエス」しか言わない人間が周りを囲むことになるのだ。

安倍首相にとって不運なのは、森友学園問題で政治的に最も厳しい立場に立たされているときにこの瞬間を迎えることだ。国内で自らの支持率が急激に下落し、米国から農業や自動車市場の規制撤廃を要求される貿易交渉に応じるような決定をする余裕もなくなっている。

こうした中、安倍首相は、トランプ大統領との友人関係を維持しようとさらに躍起になることが見込まれる。「(森友問題で)政治家たちが彼を追い詰めない主な理由がこれだ」と安倍首相との緊密な関係を持つ、ある米国人はこう話す。彼が言うには、「安倍首相が突然、『トランプ大統領とのつながり』という強みを失ったとみなされたら」政局は悪化の一途をたどることになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P500の来年末目標は7700、AIが依然主要

ワールド

メキシコ、米国産豚肉を反ダンピング・反補助金調査

ワールド

トランプ氏、フェンタニルを「大量破壊兵器」に指定 

ワールド

米、英との技術協定を一時停止か 貿易分野でも譲歩要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中