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米朝会談と日米「安倍トラ」関係の盲点

2018年3月24日(土)12時00分
辰巳由紀(米スティムソン・センター日本研究部長、キャノングローバル戦略研究所主任研究員)

安倍外交の大きな試金石

日本は今後約2カ月間、トランプ政権にどのようなメッセージを発するべきなのか。これまで日米は圧力重視の立場を共有しており、意思疎通はしっかり図れていると考えていた日本にとって、今回の発表は寝耳に水だったことは想像に難くない。

トランプは米朝首脳会談に応じる決定が発表された後すぐ安倍晋三首相と電話会談を行い、決定に至った経緯を直接説明するという配慮を一応は見せた。それでも安倍は早ければ4月上旬にも訪米し、北朝鮮情勢についてトランプとさらに議論する意思を明らかにしている。

北朝鮮情勢を考えるとき、日本にとって拉致問題の解決は引き続き重要な問題だ。米朝首脳会談でアメリカ側がこの問題についての北朝鮮側の説明を受け入れず、解決に向けて誠実な対応をするよう北朝鮮に求めることを期待することは決して間違いではない。

しかし「取引(ディール)」を得意と自負するトランプに対してはそれだけでは不十分だ。つまり、日本が抱える拉致問題を念頭に置いて米朝首脳会談に臨むことを期待する代償として、北朝鮮の非核化に向けた交渉を始めようとするアメリカに日本がどのような支援を提供できるのか、具体的な提案を行う必要があるだろう。

「拉致問題解決までは北朝鮮との関係改善はあり得ない」という立場を維持しつつ、北朝鮮の非核化推進に向けた動きに日本が積極的に関わることができるか。安倍外交にとって大きな試金石となる。

<本誌2018年3月27日号掲載>

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