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北朝鮮「市場から商品が消えた...」、対話攻勢はやはり制裁が影響か

2018年2月27日(火)15時40分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

一方、北朝鮮の人々にとって貴重なタンパク源の一つとなってきた人造肉(ソイミート)の原料である大豆粕の輸入が、今年になってから止まってしまっている。中国の情報筋によれば、中国当局が北朝鮮への輸出を止めた可能性もあるが、大豆粕すら輸入できないほど北朝鮮の外貨事情が逼迫しているのではないかと情報筋は見ている。

RFAの情報筋が伝えてきた不況は北部国境地帯のもので、全国的に広がっているか定かでない。

例えば、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK情報筋は、平壌近郊の平城(ピョンソン)では「電力事情が改善して、トロリーバスが概ねまともに運行されるようになった」と伝えている。全国有数の卸売市場がある平城から不況の話が伝わっていないということは、少なくとも平壌においては、経済制裁の影響が深刻になっていない可能性もある。

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
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