最新記事
投資

仮想通貨ブームに乗じた、投資詐欺にご用心

2018年1月27日(土)17時40分
アーロン・マク

怪しげな投資セミナーや高いリターンをうたうICOなど、仮想通貨詐欺は野放し状態 gremlin-iStock.

<投資のビギナーが手っ取り早く稼ごうとして、ネットにあふれた偽情報に踊らされる>

わずかの資金があっという間に10倍、100倍になる。そんな儲け話に釣られて投資の初心者が群がる分野では、フェイクニュースが恐るべき威力を持つ。

それが猛威を振るう仮想通貨詐欺の教訓だ。規制当局もようやく重い腰を上げ始めたが、もっともらしい相場予測をする詐欺師は今も後を絶たない。アマチュア投資家はいいカモだ。

投機的なブームが過熱するなか、規制の動きはじわじわ広がりつつある。韓国は仮想通貨取引所の閉鎖も視野に入れ規制を検討している。既に取引所を閉鎖した中国は携帯アプリなどを利用した取引も規制する考えだ(この2つのニュースがビットコインの値下がりに拍車を掛けたとの見方もある)。

アメリカでは、かなり前から投資詐欺が疑われていた仮想通貨BCCの取引所であるビットコネクトが、2州の規制当局から取引停止を通告され、1月16日に閉鎖に追い込まれた。

その3日後には米商品先物取引委員会(CFTC)が、顧客の資金をだまし取った疑いで仮想通貨の取引を行っていた事業者を相手取り3件の訴訟を起こしたことを明らかにした。

こうした動きがあっても、詐欺は一向になくならない。ニュースサイトのバズフィードは、悪質な相場師たちがソーシャルメディアやダミーのウェブサイトでテクノロジー業界の大物の名をかたって偽情報を広め、仮想通貨の価格を操作していた事例を紹介している。

新規通貨はハイリスク

例えばハンドルネーム@officiallmcafee(公式を意味するofficial にlを1つ多く付けたのがミソだ)のツイッターのアカウントは最近、情報セキュリティー大手マカフィーの創業者であるジョン・マカフィーの名をかたって、投資アドバイスを盛んに流し始めた。偽ツイートをした人物の正体は不明だが、1月14日午前3時にGVTという仮想通貨を買えと指示。

その後20分以内に、GVTの価格は30ドルから45ドルに跳ね上がり、再び30ドル前後に下落した。

このほかにもリチャード・ブランソンやイーロン・マスクなど著名実業家の名をかたって、偽の投資情報が流されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、銀行に影響する予算措置巡りイタリアを批判

ビジネス

英失業率、8─10月は5.1%へ上昇 賃金の伸び鈍

ビジネス

三菱UFJFG社長に半沢氏が昇格、銀行頭取は大沢氏

ワールド

25年度補正予算が成立=参院本会議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中