最新記事

仮想通貨

ビットコイン暴落は3度来た道

2018年1月23日(火)17時18分
リー・キューエン

上がるのか?下がるのか? wildpixel-iStock.

<ビットコイン1000ドルもあり得るという金融筋もいる一方、仮想通貨の専門家は「いつものパターン」と静観する>

仮想通貨市場は続落だ。仮想通貨データサイト、オンチェインFXによれば、1月22日午前のビットコイン相場は1万709ドル、イーサリアムは981ドルだった。どちらも過去24時間以内に8%以上下落したことになる。ほとんどの仮想通貨が下落し、リップルは過去24時間で13%以上も値を下げた。

全体像を捉えるためにオンチェインFXの過去1カ月分のデータを見ると、リップルは477%、ビットコインは85%、イーサリアムは215%、それぞれ上昇している。今回の暴落は短期的な調整だと、多くの専門家が見るのはそのためだ。

米ビットゴーの技術者ジェムソン・ロップは、2010~2017年までの8年間におけるビットコインのボラティリティー(価格変動率)の平均値をツイッターに投稿した。それによれば、1日のボラティリティーは平均で-0.25%から1.11%だった。仮想通貨の取引量が増加し、一般の人たちもかつてなく注目し始めたことから、2018年の変動幅はより大きくなりそうだが、仮想通貨に長年携わってきた専門家のなかで、今回の急落を特別と見たり警戒する人はほとんどいない。

対照的に、伝統的な金融機関の専門家は仮想通貨に対してますます懐疑的になっている。米ブリークリー・アドバイザリー・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は米CNBCのインタビューで、もし2018年に1ビットコインが3000ドルか1000ドルまで下落しても驚かない、と発言した。実際にそうなればブロックチェーン技術の誕生以来最悪の暴落となるが、あり得ない話ではない。

この程度の変動はいつものこと

誕生から9年を経過したビットコインは、過去にも何度か暴落を経験している。2013年には、12月4日に約1155ドルの最高値をつけた後、18日に459ドルまで急落した。ビットコインは2011年以降で3回以上、1週間あるいは24時間以内に50%以上下落したことがあると、米誌フォーブスは報じた。最近の価格変動程度のもっと緩い動きは、ほぼ常態化している。

米情報サイト、コインデスクによれば、中国人民銀行(中央銀行)の規制強化の発表を受けて仮想通貨が暴落するのは、典型的なパターンだという。中国当局はここ1カ月、仮想通貨の規制を一層強化する姿勢を鮮明にしてきた。北京の仮想通貨決済サービスプロバイダーに対して中国人民銀行が全取引の中止を命じたと、コインデスクは1月19日に報じた。

韓国当局も規制強化に乗り出した。聯合ニュースによれば、韓国政府は1月22日、国内の仮想通貨取引所に対し、最高法人税率に当たる24.4%の税金を新たに課すと発表した。これで韓国の仮想通貨関連ビジネスは、今後はIT企業を含む他の法人と同じ扱いを受けることになる。韓国では年間の法人所得が1870万ドルを超える企業に対して22%の法人税と2.4%の地方税が一律に適用される。韓国政府は今、それと全く同じ税負担を増収増益に沸く仮想通貨取引所に求めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中