最新記事

選挙

スペイン、カタルーニャ州議会選で独立派が過半数 混乱は長期化か

2017年12月22日(金)14時45分

12月21日、スペイン北東部カタルーニャ自治州で実施された州議会選挙(議席数135)で、開票率52%の段階で独立賛成派が70議席を獲得した。(2017年 ロイター/Albert Gea)

スペイン北東部カタルーニャ自治州で21日に実施された州議会選挙は即日開票され、独立賛成派が改選前と同様に過半数議席を確保した。ただ、第1党には反独立派政党が躍進し、独立を巡る混乱が長期化してスペイン経済全体にさらに悪影響が広がることが懸念されている。

開票作業はほぼ終了し、独立賛成派の獲得議席は、135議席中70議席となった。プチデモン氏らの保守系独立派「カタルーニャのための連合(JXC)」は、独立賛成派の政党の中で最多の議席を獲得した。

一方、第1党となったのは、反独立の「シウダダノス」。ただ、ラホイ首相の国民党と社会労働党は惨敗した。

今回の選挙は、独立の是非を問う住民投票を10月に強行したプチデモン氏を中央政府のラホイ首相が解任して以降も続いてきた独立運動に対する事実上の信任投票となった。投票率は83%を超え、過去最高となった。

反逆容疑で逮捕状が出ているプチデモン氏は、滞在先のブリュッセルから選挙活動を行ってきた。

結果を受けてプチデモン氏は「ラホイ氏が方針を転換するか、もしくはわれわれが国を変える」と宣言した。

独立運動は住民投票後しばらく失速していたが、州議会選での勝利で息を吹き返したと言える。

ラホイ首相は、今回の選挙の結果、独立反対派または一方的な独立を求めない分離派によるカタルーニャ州政府が誕生し、事態が「正常」戻ることを期待していた。

ラホイ氏は選挙結果にかかわらず、カタルーニャの直接統治を取り消す考えを示しているが、新たな州政府が再び独立を追求した場合、あらためて直接統治を敷く可能性もある。

アナリストは、独立賛成派が絶対多数を獲得することで、ボールが中央政府の手に渡ったと指摘。英調査会社テネオ・インテリジェンスの調査副部長、アントニオ・バロッソ氏は「この結果が示すのは、中央政府にとっての問題は残り、独立運動が消え去らないことだ」と述べた。

独立問題を巡る混乱を背景に、カタルーニャ州では3100以上の企業が本社登記を州外に移している。また、第3・四半期の同州への海外直接投資は前年比75%減少した。同州の経済規模は国内経済全体の20%を占める。混乱が長引けば、スペイン経済全体に影響が及ぶ恐れがある。

*内容を追加しました。

[バルセロナ 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版のおすすめ記事をLINEでチェック!

linecampaign.png

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、月内の対インド通商交渉をキャンセル=関係筋

ワールド

イスラエル軍、ガザ南部への住民移動を準備中 避難設

ビジネス

ジャクソンホールでのFRB議長講演が焦点=今週の米

ワールド

北部戦線の一部でロシア軍押し戻す=ウクライナ軍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 6
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 9
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中