最新記事

金融

米FRB、今年3度目の利上げ決定 2019年まで年3回の利上げ見込む

2017年12月14日(木)11時30分

イエレン議長の後任にはパウエル理事が就任する。

FRBは今回発表した経済見通しで2018年の成長率は2.5%になると予想。前回9月に示した見通しは2.1%だった。失業率は18年は3.9%と予想。前回9月は4.1%だった。ただインフレ率については、来年もFRBが目標とする2%をやや下回る水準にとどまるとの見方を示した。

イエレン議長はインフレ率の目標下振れについて、パウエル次期総裁に解決を託す重要な「未完の任務」と表現した。

今回の決定にはシカゴ地区連銀のエバンズ総裁とミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が反対票を投じた。

FOMC結果を受け、国債利回りは低下し、ドルは対主要通貨バスケットで値下がりした。

米株は声明発表後に一時上昇したが、S&P500種総合指数は高値を維持できずに反落。まちまちで取引を終えた。

米金利先物市場では、トレーダーがFRBは来年2回の利上げを実施するとの予想を維持した。

イエレンFRB議長はトランプ政権が提案する税制改革案が経済見通し引き上げの要因になったと説明。「大半のメンバーは議会が検討中の財政刺激策の影響を見通しに織り込んだ」と語った。

また法人税の大幅減税など財政改革案がもたらす具体的な効果については、各種要因に左右されるとし、「税制の変更は今後数年、経済活動を一定程度押し上げる公算が大きいものの、マクロ経済への効果の規模や時期については依然不透明だ」とした。

インフレ率が来年も2%目標をやや下回る水準にとどまるとの見方をFRBが示したことについて、エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ケイト・ワーン氏は「少なくとも一部の当局者は、経済が拡大しつつも過熱せず、インフレ高進の問題もない状況で、利上げを継続する理由は見当たらないと考えていることを示している」と述べた。

一方、FRB当局者はFF金利が2020年には3.1%に上昇し、長期的に持続する「中立」水準を上回ると予想。これは物価圧力の将来的な高まりへの懸念を反映したものと言える。ただイエレン議長は、インフレ見通しは引き続き非常に不透明であることに変わりはないと強調した。

FRBは1月以降、保有債再投資の縮小額を予定通り、米国債が月額120億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が同80億ドルに拡大すると明らかにした。

[ワシントン 13日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍、東部戦線で反攻作戦を展開=ゼレンスキ

ワールド

プーチン氏が増税示唆、戦時中は「合理的」も 財政赤

ワールド

全国CPI、8月は前年比+2.7%に鈍化 補助金や

ワールド

トランプ氏、TV局の免許剥奪を示唆 批判的な報道に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中