最新記事

犯罪

北朝鮮外交官が酒の密売? パキスタンの窃盗被害で発覚

2017年11月12日(日)14時00分


怒りと動揺

北朝鮮外交官のHyon氏は、10月4日に中国出張から戻ってイスラマバードの自宅が窃盗被害に遭ったことを発見すると、すぐさま近くの警察署に被害を届け出た。

「彼は怒り、動揺していた」と、Hyon氏から事情を聞いた前出の警察官Hussain氏は振り返る。「そして、非常に心配していた」

ロイターが確認した警察書類によると、Hyon氏は警察に対し、ウィスキー「ジョニー・ウォーカー・ブラック・ラベル」1200本、ワイン200ケース、ビール60箱、テキーラ数十本、ダイヤモンド2つ、現金3000ドルが盗まれたと説明した。闇市場では、ジョニー・ウォーカーのウィスキー1本は80ドルで取引されており、1200本は9万6000ドル相当になる。

Hyon氏と北朝鮮大使館は警察に対し、アルコール類は合法的に輸入されたものだと説明し、それを証明する書類も提示したという。

ロイターが確認した外務省の書類によると、事件から1週間後、北朝鮮大使がパキスタン外務省の儀典担当官に面会し、Hyon氏が盗まれた品の返却を求めた。

外交特権を持つとみられるHyon氏が捜査対象となっているかは不明だ。

ロイターが確認した書類によると、北朝鮮大使館は2016年3─12月、4度にわたって酒類の輸入注文を出している。この書類からは、大使館の外交官が個人的に必要とする合理的な量をはるかに上回るアルコール類を輸入している大使館の実態が浮かび上がる。

この9カ月の間に、北朝鮮大使館はアラブ首長国連邦を拠点とする輸出業者「トゥルーベル」を通じ、フランスのボルドーワイン1万0542本を輸入していた。4度の注文の総額は7万2867ドルで、それにはハイネケンやカールスバーグといったビール1万7322缶や、シャンパン646本も含まれていた。

トゥルーベルの事業所の電話に答えた人物はロイターに対し、同社は現在では北朝鮮と取引していないと述べたが、それ以上説明しなかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

キリンHD、バーボンブランド「フォアローゼズ」売却

ワールド

中国、今後5年で民生投資拡大 家計消費のGDP比大

ビジネス

カナダ、米国製ステランティス・GM車の関税免除枠削

ビジネス

トランプ氏、カナダとの貿易交渉打ち切り 関税巡る「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中