最新記事

犯罪

北朝鮮外交官が酒の密売? パキスタンの窃盗被害で発覚

2017年11月12日(日)14時00分

11月8日、イスラマバードにある北朝鮮外交官の自宅に10月3日、3人の男がドアを蹴り破って押し入り盗みを働いた際、「戦利品」を運び出すのに3時間以上かかったと、隣人は証言する。写真は被害に遭ったイスラマバードの北朝鮮外交官の自宅前で6日撮影(2017年 ロイター/Caren Firouz)

イスラマバードにある北朝鮮外交官の自宅に10月3日、3人の男がドアを蹴り破って押し入り盗みを働いた際、「戦利品」を運び出すのに3時間以上かかったと、隣人は証言する。略奪されたのは、数千本ものスコッチウイスキーやビール、フランスワインのボトルだった。

窃盗犯は用意周到だった。警察や目撃者によると、北朝鮮外交官Hyon Ki Yong氏の自宅にある酒庫を襲った窃盗犯は、自動車3台と小さなトラック1台を準備していた。酒類は、イスラム教徒の飲酒が法律で禁じられたパキスタンの闇市場で、総額15万ドル(約1700万円)に上る価値があったという。

警察は、犯行直後に被害品のほとんどを発見し押収した。警察は、窃盗犯とみられる警察官3人のほか、良く知られた酒の密売業者1人の逮捕状を取った。また、Hyon氏の自宅の使用人1人を逮捕した。

警察庁や税関の幹部は、今回の事件で大量の酒類が見つかったことで、北朝鮮外交官の一部が、手元の資金稼ぎ、または北朝鮮政府による外貨稼ぎの一環として酒を売っていたとの結論に至ったと話す。

核やミサイル開発を進める北朝鮮政府に対しては、国連主導の経済制裁の包囲網が狭められつつある。

Hyon氏について、「この北朝鮮人は、酒の販売に関与していた」と、捜査状況に詳しいイスラマバードの警察幹部は話した。ロイターは、Hyon氏が酒類を販売していたことを独自に確認することはできなかった。

北朝鮮大使館の電話に答えた外交官は、Hyon氏の事件などについてコメントせず、「それは大使館とパキスタン外務省との間で協議した」とだけ述べた。この外交官は名乗らずに電話を切り、その後掛け直したが応答しなかった。

捜査を担当する警察官のIshtiaq Hussain氏は、Hyun氏の使用人のBoota Masih容疑者が犯行への関与を自供し、詳細を全て話したと述べた。

警察が行方を追っている3人の警察官のうちの1人、Malik Asif容疑者は、ロイターの電話取材に対して犯行への関与を否定。現在は身を隠していると話した。また、北朝鮮人が酒の密売に関与していたのは間違いないと思う、と述べた。「彼らは長年、そのビジネスに携わってきた」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

バーゼル委、銀行監督規則を強化 気候変動関連リスク

ワールド

韓国財政、もはや格付けの強みではない 債務増抑制を

ワールド

米最高裁、トランプ氏免責巡り一定範囲の適用に理解 

ワールド

岸田首相、5月1─6日に仏・南米を歴訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中