最新記事

朝鮮半島

韓国が目指す平昌「平和五輪」を北朝鮮が吹き飛ばす?

2017年11月2日(木)11時00分
ハリー・キム

高速鉄道を狙うテロも

平昌五輪に合わせて、北朝鮮が行う妨害工作には3つのシナリオが想定できる。

<その1>頻度と規模を上げてミサイル発射と核実験を実施する。それによって選手団や観光客が韓国行きを見合わせれば、北の思う壺だ。しかし国際社会はこの手の挑発には既に慣れっこになっていて、ミサイルが飛んだ程度では五輪はつぶれない。

<その2>軍事境界線を越えて韓国軍にちょっかいを出し、小規模の軍事衝突を引き起こす。五輪ムードに水を差すには、こちらのほうが効果的だろう。

<その3>韓国に潜伏する工作員を使って、首都ソウルへの空の玄関口である仁川国際空港や、ソウルから平昌への移動に使われる高速鉄道の駅などでテロ攻撃を行う。これは大きなリスクを伴う攻撃だが、マレーシアの空港で金正男(キム・ジヨンナム)を暗殺したように、北朝鮮は必要とあらばどんな危険な作戦でも実行する。

いずれにせよ朝鮮半島の緊張がかつてなく高まっている今、北朝鮮が平昌五輪に照準を合わせて挑発行動に出れば、火に油を注ぐ結果になるのは明らかだ。

アメリカは軍事的圧力をさらに強め、韓国国内では文政権の弱腰対応に批判が高まるだろう。空母3隻態勢の米艦隊が近海に展開し、交渉ルートが断たれた状態で、アメリカや韓国で「北朝鮮をやっつけろ」の声が高まれば、本格的な戦争に突入するのは時間の問題だ。北に節度があることを祈るしかない。

<本誌10月31日発売最新号掲載>

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

From thediplomat.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾンと米郵政公社、「ラストマイル配送」契約更新

ワールド

トランプ政権の対中AI半導体輸出規制緩和を禁止、超

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米利下げ観測で5週ぶり安

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、FRBの利下げ期待が支え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中