最新記事

アマゾン

アマゾン配送センターでは週55時間勤務も救急車搬送も当たり前  

2017年11月27日(月)18時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ドイツ・ラインベルクにあるアマゾンの配送センター Lukassek-iStock.

<アマゾンの欧州最大級センターでは、パニックになって救急車で搬送されても働き続けなければならない!? >

華々しいアマゾンの躍進の裏で、配送センターのスタッフが疲弊している。

英ミラー紙が独自の潜入調査で明らかにしたのは、スタッフたちの衝撃的な労働環境。ヨーロッパ諸国ではアマゾンのスタッフによる労働条件の改善を求めるストライキやデモが以前から話題になっていたが、それを裏付けるかのような報道が反響を呼んでいる。

同紙のアラン・セルビー記者が潜入したのは、イギリス東部エセックス州チルベリーにある「フルフィルメントセンター」。商品の管理・ピッキング・配送を一貫して行うことで、在庫や時間のロスといったリスクを軽減できると謳うアマゾンの配送拠点のひとつ。サッカーグラウンド11個分の広大な敷地を誇る欧州最大級のセンターで、今年は120万個の商品の出荷を予定している。

居眠りしてでも達成すべきノルマの存在

アマゾンに寄せられる大量の注文を捌くために、スタッフたちは精神的にも肉体的にも苦しんでいる。今回の報告で大きく取り上げられたのは、アマゾンのスタッフたちが仕事中に立ちながら仮眠をとっている姿。

(疲れ切った様子のスタッフ)


ここまでして働く理由は、センターに割り当てられたノルマの存在が大きい。1時間に最大300個の商品の処理が達成できるよう「30秒で1商品」というノルマの下、センター内に設置された監視カメラがスタッフたちの動きに無駄がないかを見張っている。「ノルマを達成できないとクビもあり得る。過労とプレッシャーのため救急車で搬送された人もいる」と、セルビーは語る。

疲れ切ったスタッフたちはそれでも追いつかない仕事を巻き返そうとして、自分の労働時間のことまで頭が回らない状態だ。1週間あたり55時間の長時間労働の末にパニックを起こす者もいる。

チルベリーのセンターは労働安全衛生法をクリアした職場だが、合法だからと言ってスタッフにとって良い環境であるとは限らない。スタッフとして5週間勤務したセルビーはその状況を「労働者たちはまるでロボットに仕えるしもべ」だったと振り返る。

おまけにスタッフたちはトイレに行くために約540メートルも歩かねばならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、11月CPIが予想下回る 

ビジネス

トランプ氏、FRB議長候補のウォラー理事と面会 最

ワールド

トランプ氏、大麻規制緩和の大統領令に署名 分類見直

ワールド

米政権、ICC判事2人に制裁 イスラエルへの捜査巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 9
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中