最新記事

トップセールス

トランプ=習近平2500億ドル超の商談契約 拘束力なく不履行の可能性も

2017年11月9日(木)18時21分

11月9日、トランプ米大統領の初の訪中に合わせて成立した米中間の商談は、2500億ドル超規模に上った。ただ多くは拘束力を持たず、契約が実現するかどうかは別の問題となる。写真は握手を交わす米大統領と中国国家主席。北京で撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

トランプ米大統領の初の訪中に合わせて成立した米中間の商談は、2500億ドル超規模に上った。ただ多くは拘束力を持たず、契約が実現するかどうかは別の問題となる。

トランプ大統領と中国の習近平国家主席が署名式に出席し、米航空機大手ボーイング、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米通信用半導体大手クアルコムが調印を行った。

中国の鍾山・商務相は9日、トランプ大統領の訪中に合わせて過去2日間で成立した米中間の商談が2534億ドルに達したと表明。「これは本当に奇跡的な出来事だ」とコメントした。

一方で、中国市場への自由なアクセス、サイバーセキュリティ―、海外企業内での中国共産党の存在の拡大など、米企業が持つ懸念の多くは依然として解消されていない。

在中国米商工会議所のウィリアム・ザリット会頭はロイターに対し、今回の商談について「力強い二国間の経済関係があることが示された。ただ、米企業は中国での事業展開で引き続き不利な状況にあり、競争条件の公平化に注力していく必要がある」と述べた。

今回成立した商談の多くは、拘束力のない合意で、詳細に欠け、既存の提携に関する発表などとなった。

クアルコムは、中国の携帯電話機メーカーである小米科技、広東欧珀移動通信(OPPO)、Vivoの3社との間で、総額120億ドルの拘束力のない覚書(MOU)を結んだ。3社とは「長期にわたる関係を築いている」とした。

中国国営の中国中央テレビ局は、ボーイングが中国で370億ドル規模の商談に調印したと伝えた。

米業界関係者らは、大規模な商談成立が貿易を巡る米国の懸念の解消につながるかとの質問に対し、慎重ながらも楽観的な見方を示した。

上海を拠点とする弁護士、Gentry Sayad氏は商談成立について「総じて、良いことだという認識があった」とし、今後を見守っていくと述べた。

[北京/上海 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

南アCPI、8月は予想外に減速 金融政策「微妙な判

ビジネス

英8月CPI前年比+3.8%、米・ユーロ圏上回る 

ビジネス

インドネシア中銀、予想外の利下げ 成長押し上げ狙い

ワールド

世界貿易、AI導入で40%近く増加も 格差拡大のリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中