最新記事

プライバシー

米当局が個人監視対象を拡大 「国内出身の暴力的過激主義者」追加

2017年10月30日(月)17時20分

国防総省のマハー氏によれば、解釈見直しの契機となったのは、安全保障上の脅威となりかねない人間のなかには、「イスラム国」やボコ・ハラムといったグループと特につながりのない者も存在するという認識だったという。

マハー氏は、「インターネットとソーシャルメディアによって、テロ組織が直接的な連絡なしに支持者を過激化することが以前よりも容易になった」と話している。「そういう個人を監視ターゲットとするためには、柔軟性が必要だと感じた」

2016年8月、オバマ前政権が最後の数カ月にさしかかった頃、国防総省からの報道資料により、同省が情報収集手続の見直しを行ったことが発表された。しかしそこでは、「国内出身の暴力的過激主義者」への具体的な言及はなかった。

このマニュアルの改訂は、司法長官を含む司法省上層部によって承認され、政府系のプライバシー擁護機構である「プライバシー・市民的自由監視委員会」の検証を受けている。

マハー氏は、「国内出身の暴力的過激主義者」は、空軍の研修スライドでは例示されているが、国防総省が用いる公式用語ではないと話す。マハー氏によれば、誰かを新たな定義に基づく監視対象と認定するための具体的な特徴や行動のリストは用意されていないという。

マハー氏は、勘や直感だけでは情報収集を開始するには十分ではないと述べ、ターゲットが米国に害をなす国際テロ組織の目標に貢献しつつあるという「合理的な確信」が必要になるという。

国防総省の新マニュアルでは、「米国の国家安全保障に有害な目的をもって、国際的テロリスト又は国際的テロ組織の目標・目的のために行動し、又はこれを推進していると合理的に信じうる」ターゲットという表現を用いている。

マハー氏によれば、対テロリズムの調査においては、電子的な手段による監視に関して、国防総省のマニュアルに詳細に規定された制限の他に、外国情報監視法など監視に関する連邦法が引き続き適用されるという。

(翻訳:エァクレーレン)



Dustin Volz

[ワシントン 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用4月17.7万人増、失業率横ばい4.2% 労

ワールド

カナダ首相、トランプ氏と6日に初対面 「困難だが建

ビジネス

デギンドスECB副総裁、利下げ継続に楽観的

ワールド

OPECプラス8カ国が3日会合、前倒しで開催 6月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中