最新記事

プライバシー

米当局が個人監視対象を拡大 「国内出身の暴力的過激主義者」追加

2017年10月30日(月)17時20分

 10月25日、米国政府が、物理的もしくは電子的な監視対象となり得る市民の解釈を拡大して、「国内出身の暴力的過激主義者」を含めたことが、ロイターが閲覧した公式文書によって明らかになった。写真は2015年7月、コロラドスプリングスの米空軍基地(2017年 ロイター/Rick Wilking)

米国政府が、物理的もしくは電子的な監視対象となり得る市民の解釈を拡大して、「国内出身の暴力的過激主義者」を含めたことが、ロイターが閲覧した公式文書によって明らかになった。

米国防総省は、自らの情報収集活動における管轄手続きのマニュアルを昨年改訂した。連邦議会や裁判所による検証を受けずに、こうした変更が可能になったのは、数十年前に遡る大統領令によるものだ。

昨年8月に出された新マニュアルでは「外国のテロリストとの特別な関係が確認できない場合」でも、防諜目的で米国民に関する情報を収集することが認められた。米空軍特別捜査局(AFOSI)が昨年作成した研修用スライドによって明らかになった。

この研修用スライドは、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが麻薬対策・移民管理を目的とする監視に関する連邦法の運用について「情報の自由法」に基づく請求によって入手したもので、ロイターだけに特別に提供された。

空軍と国防総省は、この文書が本物であることを認めている。

このスライドでは、「国内出身の暴力的過激主義者」のカテゴリーに該当するものとして、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃撃事件や、フロリダ州オーランドで2016年6月に発生した同様の事件を挙げている。銃撃犯は犯行の直前、もしくは犯行の最中に過激派組織「イスラム国」への忠誠を宣言していたが、捜査官は、世界各地で民間人に対する銃器や爆発物による攻撃を行っている同組織との直接のつながりを発見できなかった。

国防総省で上級情報監督官を務めるマイケル・マハー氏は、「AFOSIをはじめとする軍防諜機関は、軍に関連する潜在的な状況が認められる場合には、現役軍人と米民間人双方を調査することが認められている」とロイターに語った。マハー氏によれば、民間人に対する調査は連邦捜査局(FBI)と協力しつつ行われるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-(9日配信記事)ウクライナ戦争でロシア経済の

ワールド

米中外相が対面で初会談、「相違点の管理」で合意 協

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 4
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中