北朝鮮が自賛する「国産」CNC加工装置、兵器開発の立役者に
大量生産
北朝鮮政府は国産CNC装置について、自主性を唱える主体(チュチェ)思想の勝利とたたえたが、厳密にはそれは正しくない。
2016年8月、国営メディアは、スイスの重電大手ABBのロゴが入ったCNC装置を使用する工場を視察する正恩氏の写真を配信した。世界のCNC市場において、ABBは最大手の1つである。同社の装置がいつ、どのように北朝鮮に渡ったのかは定かではない。
ABBは、同社が北朝鮮に対する貿易制裁を全面的に順守しており、自社の装置が同国に渡らないようにしているとしたうえで、「それでも、自社製品の一部がわれわれのあずかり知らぬところで許可なく北朝鮮に転売されていた可能性は排除できない」と、ロイターの問い合わせに回答した。
国連安保理の北朝鮮制裁委員会が今年発表した報告書によると、中国の「滕州市科永達數控機床有限公司」が、北朝鮮の新たなCNCサプライヤーとなっていた。同社の営業担当者はロイターに対し、北朝鮮への販売は4年前に中止しており、現在は取引関係にないと述べた。
制裁下にあるにもかかわらず、CNC装置は北朝鮮内の製造拠点の至るところにあり、中国やロシア経由で持ち込まれた可能性があると、韓国科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)先任研究委員は指摘する。
最大の抜け道は、一部のCNC装置は軍民両用で利用できる機能があるため禁止されているものの、大半の装置は民需産業で利用できることだ。
「軍民両用が可能であることを考えると、他の目的で装置を輸入し、それを分解して利用することも可能だろう」との見方を李氏は示した。
CNCの歌はこのことを出だしのフレーズで強調している。
「それが何であろうと、全力で取り組めば、作れるプログラムはある」
(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
[ソウル 12日 ロイター]