最新記事

環境問題

中国政府、ディーゼルトラック利用半減令 「鉄道アルマゲドン」起きるか

2017年9月27日(水)16時21分


「鉄道アルマゲドン」

中国都市部の大気清浄化対策として生産削減を命じられた企業は、すでに「暗い冬」への備えを進めていた。

今や、多くの企業は、11月1日の期日までに鉄道輸送手段を確保するため、必死の努力を始めている。

中国石油化工(シノペック)<600028.SS>や中国アルミニウム(チャルコ)<601600.SS>など主要国有企業は、鉄道輸送の長期契約を結んでいるため、中小企業の使える枠は限られている。また、多くの工場は、鉄道駅から数百キロ離れた場所に位置している。

また、鉄道輸送が目詰まりを起こすことで、大きな混乱が生じ、必要不可欠な原料が不足したり、企業の製品供給能力に悪影響を与えたりする可能性が懸念されている、とロイターが取材した企業幹部は警鐘を鳴らす。

さらに、鉄道輸送はより高価で、路線によってはより時間がかかる。邢台鋼鉄の幹部は、鉄道を使う場合、1トンあたり最大40元(約680円)輸送費が加算され、10%のコスト上昇につながるという。

「鉄道アルマゲドンのために、原料が十分に届かず、製品輸送が困難になるなら、冬季は減産を強いられるかもしれない」。山東省にあるエン州煤業コークス工場の営業幹部はそう語った。この工場は、年間200万トンのコークスを生産している。

同幹部によると、中国東部の工業と農業の中心地、山東省では、鉄道当局が、主要顧客を対象とした最近の会議で、貨物1トンあたりの輸送料金について距離1キロにつき0.01元の値上げを提案した。

これは、南に約160キロ離れた街への輸送費用が約10%上昇することを意味する。この提案が、省政府に正式に承認申請されたかどうかは明らかになっていない。

「約60キロしか離れていない顧客もある。トラック輸送の方が機動的だし安価だ」と、 邢台鋼鉄のワイヤー子会社の営業幹部は言う。「800キロ離れた浙江省や江蘇省の顧客には、鉄道輸送では1週間かかるが、トラックなら1、2日で済む」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中