最新記事

北朝鮮情勢

トランプの心が読めない北朝鮮、威嚇の傍ら米政府のコネ探る

2017年9月27日(水)15時00分
グレッグ・プライス

初の国連演説で金正恩を「ロケットマン」と呼ぶなど暴言を吐きまくったトランプ Brendan McDermid-REUTERS

<北朝鮮高官はトランプのツイートを暗記するほど分析し、米政府関係者にもルートを開こうと接触を始めた>

北朝鮮は、ドナルド・トランプ大統領のツイッターに目を光らせている。トランプの重要なツイートは政府高官も暗記しているほどだ。

北朝鮮は、ソーシャルメディアや国連でのトランプの行動や過激な発言の意図を測りかね、共和党系のシンクタンクや元アメリカ政府関係者に接触し始めていると、9月26日付のワシントン・ポスト紙は報じた。

同紙の報道には、北朝鮮のツイッターの扱い方をめぐる重要な情報が含まれている。北朝鮮の政府関係者は、ジュネーブ安全保障政策センター(GCSP)が9月にスイスで設けた会合の席で、トランプのツイートに関して「百科事典並みの精通ぶり」を披露し、アメリカ側の出席者にツイートを諳んじてみせたという。

トランプが大統領選に勝利した2016年11月以降、北朝鮮はトランプの外交戦略を理解すべく積極的に動いてきたが、いまだ当惑が拭い去れないのだろうと、同紙は報じている。

初めて見るアメリカ

「北朝鮮は、アメリカがどこへ向かっているのか、まだ困惑しており、米政府の意向を探るためのルートを開こうと試みている」と、元国務省幹部のエバンス・リビアはワシントン・ポスト紙に述べた。「北朝鮮は、このように振る舞うアメリカを見たことがない」

トランプは、フォロワーが3930万人いるツイッターなどのソーシャルメディアを使い、北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)を激しく攻撃し、脅しや侮辱を繰り返している。

最近では、金を「ロケットマン」や「マッドマン(狂人)」と呼び、9月22日には、金が「かつてない試練にさらされる」ことになるだろうと述べた。

最新のツイートは、ニューヨークの国連総会で行った自身の初めての演説の一部を繰り返したものだ。

「アメリカは大いなる強さと忍耐を持ちあわせているが、自国や同盟国を守らざるをえない場合は、北朝鮮を完全に破壊する以外に、選択肢はなくなるだろう」とトランプは述べた。「ロケットマンは自殺行為に走っている」

2日後、トランプ政権は、北朝鮮に対する新たな制裁措置を発表した。この新たな制裁の狙いは、アメリカ国外の金融機関が北朝鮮と取引できないようにすることにあった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中