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日欧米の中央銀行よ、本来の任務に立ち返れ

2017年9月20日(水)12時00分
ダニエル・グロー(欧州政策研究センター所長)

今のECBは当時よりはるかに仕事がしやすいはずだ。インフレ率はなおも目標の2%に届かないものの、雇用状況は大幅に好転しているからだ。その証拠に失業率が低下しただけでなく、ユーロ圏の労働参加率は99年に比べ5ポイント増加している。

こうした背景にもかかわらず、ECBはなぜか、マイナス金利や国債の買い入れといった非従来型の金融政策が必要だと主張し続けている。確かに長期的に見てデフレ懸念が完全になくなったとは言い切れない。だからといって大規模な量的緩和やマイナス金利、ゼロ金利を続ける理由にはならない。今よりも主要な経済指標が悪かった時期に2~3%台の政策金利を維持していたから、なおさらだ。

【参考記事】次の覇権国はアメリカか中国か 勝敗を占う「カネの世界史」

こうした矛盾は欧州に限らない。アメリカでも、99年にはコアインフレ率は2%前後、失業率は5%未満、FRBの政策金利は5%で、FRBのバランスシートは「正常」だった。現在の政策金利は1.5%未満の水準にとどまり、量的緩和のために約5倍に膨張した保有資産の縮小には踏み切れないままだ。

日本はどうか。アジア通貨危機後と比べてインフレ率は上昇し、失業率は過去20年の最低レベルにある。だが日本銀行は「異次元緩和」を続け、ドン・キホーテよろしくデフレ懸念という風車と戦っている。

金融危機はとっくに終わった。日欧米の中央銀行は「正常化」に舵を切るべきだ。

(c) Project Syndicate

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[2017年9月19日号掲載]

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