最新記事

安全保障

米政府のカスペルスキー製品使用禁止で、プーチンが反撃開始?

2017年9月14日(木)18時48分
エリアス・グロル

米情報機関の複数の元職員はこの数カ月、カスペルスキーはロシア政府の懐刀になっていると、相次いで語った。根拠はウイルス対策ソフトの仕組みそのものだ。そもそもこれらのソフトは、顧客のパソコン内部の情報を隅々まで監視できることを前提にしている。カスペルスキーのソフトは、顧客のコンピューターが取り込むほぼすべてのファイルをスキャンし、膨大なデータをカスペルスキーの本社に送信する。こうしたソフトには、ソフトウェアを書き換えたり、場合によってはコンピューターを遠隔操作で支配するほどの威力がある。

「ロシア政府が単独、またはカスペルスキーと共謀で、カスペルスキー製品を悪用して連邦政府の情報や情報システムに侵入するリスクがあることは、アメリカの国家安全保障に対する直接的な脅威だ」とドゥークは声明で言う。

カスペルスキーが米連邦機関のネットワークから締め出されたのを受けて、ロシア政府は米企業に報復するかもしれない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先週、外国製のソフトウェアを採用するロシア企業に対して、ロシア政府が取引を打ち切る可能性をほのめかした。

「ロシア政府は、安全保障を決定的に重視している」と、ロシアのテクノロジー企業の幹部が集まった会合でプーチンは言った。「もしロシア企業が外国産のハードウェアやソフトウェアを大量に輸入して売るつもりなら、ロシア政府としてはそれらの製品を購入できないと言わざるを得ない。ひとたびボタンを押せば、情報がごっそり国外に流出するリスクがあるのだから」

(翻訳:河原里香)

From Foreign Policy Magazine



【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

ご登録(無料)はこちらから=>>


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUが2兆ユーロの次期7カ年予算案提示、防衛と競争

ビジネス

再送米経済活動は小幅拡大、物価は上昇 見通しやや悲

ワールド

イラク・クルド自治区の油田にドローン攻撃、施設損傷

ビジネス

再送-〔アングル〕円安への備え進むオプション市場、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏にも送電開始「驚きの発電法」とは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 5
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 6
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 9
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 10
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中