最新記事

人権問題

ミャンマー、バングラ避難のロヒンギャ族が戻らぬよう国境に地雷設置

2017年9月6日(水)15時02分

9月6日、ミャンマーが、バングラデシュへ避難したイスラム教徒少数民族ロヒンギャが戻ってくるのを防ぐため、3日にわたり国境地帯で地雷の設置作業を行っているもようだ。バングラデシュの政府関係者2人が明らかにした。写真はバングラデシュへ非難したロヒンギャ族の人々。3日撮影(2017年 ロイター/Mohammad Ponir Hossain)

ミャンマーが、バングラデシュへ避難したイスラム教徒少数民族ロヒンギャが戻ってくるのを防ぐため、3日にわたり国境地帯で地雷の設置作業を行っているもようだ。バングラデシュの政府関係者2人が明らかにした。

同国は、国境近くでの地雷設置に対し、6日正式に抗議する意向だという。

ミャンマーでは8月25日、ロヒンギャ族の武装勢力が警察や軍の拠点を襲撃したことをきっかけに、軍による取り締まりが開始。少なくとも400人が死亡し、ロヒンギャ族の12万5000人が同国の西隣にあるバングラデシュへ脱出し、重大な人権問題になっている。

バングラデシュの関係筋は「ミャンマーは国境にある有刺鉄線が張り巡らされた柵に沿って地雷を設置している」と話した。主に写真証拠や通報者から情報をつかんだという。

関係筋は「わが国の軍部は、3―4つの集団が柵の近くで作業をし、何かを地面に埋めているのを目撃している」とし、「それらが地雷であることを、通報者と確認した」と述べた。その集団が制服を着ていたかどうかは明らかにしなかったが、ロヒンギャ族の武装勢力でないことは明白だと話した。

バングラデシュの国境警備員マンズルール・ハサン・カーン氏はこれより先に、ロイターに対し、5日にミャンマー側で2回の爆発音が聞こえたと証言。少年1人が国境付近で左足を失い、治療のためバングラデシュ側に運び込まれたという。このほかにも別の少年が軽傷を負ったといい、同氏は地雷の爆発である可能性があると述べた。

あるロヒンギャ族の難民は4日に、難民らが避難に使う国境の無人地帯の道の近くに、直径約10センチメートルの金属の円盤が一部ぬかるみに埋まっているところを撮影した。この難民は、似た円盤がほかにも2つ埋まっていたと話した。

ロイターは、埋められていたものが地雷かどうか、ミャンマー軍と関係があるかどうかを確認できていない。ミャンマー軍からのコメントは得られていない。

[ダッカ 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア「H20」は安全保障上の懸念=中国国営

ワールド

中国、米にAI向け半導体規制の緩和要求 貿易合意の

ワールド

北朝鮮、軍事境界線付近の拡声器撤去を開始=韓国軍

ワールド

米、金地金への関税明確化へ 近く大統領令=当局者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 5
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中