最新記事

ミサイル

北朝鮮、現在所有するミサイルで米本土を壊滅的打撃 EMP攻撃を検討

2017年9月6日(水)08時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

金正恩はもうアメリカ本土を手中に収めた? KCNA-REUTERS

<3日午後に6度目の核実験を行った北朝鮮。アメリカ本土を射程に入れる核ミサイルの開発を本格化させるなか、北朝鮮の労働新聞は核実験の成果を報じる記事でEMP攻撃が可能だと言及した。米国が恐れるEMP攻撃とは──>

北朝鮮が3日午後、「水爆実験」に成功したと報じた朝鮮労働党の機関紙・労働新聞のニュースは次のようなことも触れていた。


「核兵器の威力を攻撃対象によって数十〜数百キロトン級に至るまで任意に調整できる我々の水素爆弾は巨大な殺傷破壊力を発揮するだけでなく、戦略的目的によって高空で爆発させ、広範囲の地域について強力なEMP攻撃まで加えることのできる多機能化された核兵器だ」


さらに北朝鮮は、4日の労働新聞でもEMP攻撃について取り上げた。北朝鮮の理工系でもっとも優れた大学といわれる金策工業総合大学のキム・ソンウォン学部長による「核兵器のEMP威力」と題した解説記事を掲載。2日続けて取り上げたことで、対外的にEMP攻撃の可能性を示唆したものと見られている。

newsweek_20170905_232319.jpg

解説記事「核兵器のEMP威力」 4日の労働新聞Web版より

EMP(=electromagnetic pulse)攻撃は、核弾頭を地上ではなく、数十キロメートルの上空で爆発させたときに発生する非常に強力な電磁波を利用して、地上の各種電子機器を破壊させたり誤作動を発生させることをいう。落雷で電気製品が壊れることと同じ現象を人為的に、しかも広範囲にわたって引き起こすことができるため、アメリカをはじめとした軍事大国が密かに研究をしているとも言われている。

【参考記事】電子戦再考:米陸軍で「サイバー電磁活動」の検討が始まっている
【参考記事】北朝鮮、ICBM級のロケットを西岸に移動 ミサイル発射準備か

北朝鮮のEMP攻撃への関心については、韓国軍関係者も注目している。中央日報などの韓国メディアによれば、軍関係者は「北朝鮮の機関紙で2日連続でEMPについて報道したのはただ事ではない」「北朝鮮がEMP攻撃に関心を持っているようだ」と話している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中