最新記事

インドネシア

スタバvsイスラム団体 インドネシアでボイコット騒動

2017年7月10日(月)13時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)

ジャカルタのスターバックス Agoes Rudianto-REUTERS

<インドネシアで、LGBT(性的少数者)の権利を擁護するスターバックスのボイコットをイスラム教団体が呼びかけている。国是の「多様性と寛容」は大丈夫か>

インドネシアで米大手コーヒーチェーン店の「スターバックス」に対しイスラム教団体「ムハマディア」が、スタバの国内チェーン店全店の営業許可の取り消しを求める騒動が起きている。ことの発端は、スタバがLGBT(性的少数者)を擁護する立場を打ち出したことに、同性愛を基本的には認めない立場のイスラム教団体が反発し、立場を変更しない限りインドネシアでの営業は認められない、として政府に対して営業許可の取り消しを求めたこと。マレーシアでも同様の動きがでている。

スタバは2012年に本部のある米ワシントン州で同性の婚姻を認める同性婚を合法化されたことに対し会社組織として支持を表明するなどLGBTに理解を示してきた。スタバに限らず欧米系の会社は少数派や弱者、身体障害者なども社会の一員であるとして積極的に認知し、支援することを「企業の社会的責任」の一つとしてとらえる傾向がある。

ところがムハマディアはLGBTを認めることは「イスラム教徒のイデオロギー、信念に反する。LGBT擁護を追認しないためにもイスラム教徒はスタバを利用するべきではない」として、ムハマディアの会員だけに留まらず、全てのイスラム教徒にスタバ利用拒否、つまりボイコットを呼びかけた。

「イスラム本来の姿へ」呼びかけ

ムハマディアの営業許可取り消し要求の報道が流れたインドネシアでは、7月6日にスタバをインドネシアで運営するMAPボガ・アディプルカサの株価が急落した。ジャカルタ株式市場での同社の株価は6日午後2時に、6月の1株3150円から2660円へと約15%下落するなど早くも経済活動に影響を与え始めている。

ムハマディアは1912年にジャワ島中部のジョグジャカルタで発足したイスラム改革運動の組織で、イスラム本来の姿への回帰を掲げ正式会員は60万人だが支持者は3000万人、インドネシア最大のイスラム教団体「ナフダトールウラマ(NU)」(支持者約4000万人)に次ぐ組織で政治的、経済的、社会的影響力は極めて大きい。

スタバのLGBT擁護に関してはイスラム教国であるマレーシアでも、会員数約70万人のイスラム教団体「ペルカサ」がインドネシアでのムハマディアの動きに同調するようにスタバのボイコットを呼びかけている。マレーシアでは男性同士の婚姻はもちろん性行為も法律で禁止されており、ディズニー映画「美女と野獣」の中に同性愛のシーンがあるとしてマレーシア側がその部分のカットを要求、ディズニー側が上映そのものを中止した経緯もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ロシア原油への制裁緩和を検討 世界原油高に対応

ワールド

トランプ氏、イランとの戦争「ほぼ完了」 想定より早

ワールド

イラン高濃縮ウラン、イスファハン核施設でなお保管=

ビジネス

トランプ米大統領、買収争奪戦中にネトフリとワーナー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 10
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中