最新記事

司法妨害

ロシア疑惑、「裏切りの告発証言」引き出す腕利き検察官を抜擢

2017年6月22日(木)16時23分

オバマ政権下で法律顧問を務めたキャサリン・ルエムラー氏は、証言を確保するため、ワイスマン氏は他の検察官なら取らないかもしれないリスクを取ることに前向きとの見方を示した。

ルエムラー氏は、2001年に破綻したエンロンの巨額粉飾決算を捜査する司法省のチームで、ワイスマン氏と共に働いた経験がある。

ルエムラー氏によれば、当時協力に同意せず、すでに有罪を認めていたエンロンの元財務担当ベン・グリサン被告が、証言するだろうというワイスマン氏の勘が働いたという。そこでワイスマン氏は、同被告を刑務所から大陪審に引っ張り出してきた。

負けることを恐れない

他の検察官であれば、グリサン被告の証言が自分たちが組み立てた事件の構図と矛盾する可能性を恐れたかもしれないと、ルエムラー氏は指摘する。だが、このエンロン元幹部が重要な証言を行ったことで、ワイスマン氏の賭けは功を奏した。

「彼(ワイスマン氏)は負けることを恐れない。これは、まれに見る資質だ」とルエムラー氏は語った。

ワイスマン氏はまた、エンロン事件で検察側の重要な証人となった同社のアンドリュー・ファストウ最高財務責任者(CFO)の弁護団との長期にわたる交渉の先頭に立ち、同じくエンロン社員だったファストウ氏の妻が不正取引で起訴されたという事実から交渉を有利に進めた。

2人とも罪を認め、ファストウ被告はエンロンのジェフリー・スキリング最高経営責任者(CEO)に不利な証言を行った。同CEOは2006年、有罪判決を受けた。

ファストウ氏はコメントを拒否。グリサン氏からもコメントを得られなかった。モラー特別検察官の代理人とトランプ大統領の弁護団もコメントを差し控えた。

ワイスマン氏の強硬姿勢は検察の越権行為につながりかねないとの批判の声も上がっていた。エンロン事件を巡る多くの有罪判決は控訴審で覆された。スキリング氏に下された24年の刑期も、のちに10年減刑されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロンドン金融業界、求人が増加 フィンテックとAIが

ワールド

米中、相互に船舶港湾使用料徴収 海上輸送も応酬の舞

ビジネス

国際金融当局、AIの監視強化へ

ビジネス

EXCLUSIVE-中国BYDの欧州第3工場、スペ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中