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司法妨害って何? FBI前長官の議会証言の見どころ

2017年6月8日(木)17時54分
ジェイソン・ルミエール

──司法妨害の罪の重さは?

司法妨害は連邦犯罪に当たるが、トランプがすぐに刑務所に連れて行かれることはない。現職の大統領を訴追できるか否かについては見解が分かれるが、司法省法律顧問室はウォーターゲート事件の最中の1973年、現職の大統領を訴追することはできないという判断を下した。当時の結論はこうだ。「現職の大統領を起訴もしくは刑事訴追すれば、行政府が憲法で定められた任務を遂行する能力を損なう恐れがある」

だからといって、トランプが無罪放免となるわけではない。合衆国憲法は、大統領が「反逆罪、収賄罪、その他の重罪および軽罪」で弾劾訴追を受けることがあるとしている。司法妨害もそのなかに入る。

最終的には、「政治判断」に委ねられる、とザイデンバーグは言う。

──歴代大統領による司法妨害は?

最も有名なのは、リチャード・ニクソン元大統領による司法妨害だ。当時ニクソンの支持派がワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に盗聴器を仕掛けるために侵入し逮捕された事件で、ニクソンはもみ消し工作を図った。下院司法委員会が弾劾手続きに入り、ニクソンは1974年に辞任した。

1998年にはビル・クリントン元大統領が、元ホワイトハウス実習生のモニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダルをめぐり虚偽の宣誓供述を行ったとして弾劾裁判に持ち込まれたが、有罪判決に必要な出席議員の3分の2の同意が得られず罷免を免れた。

(翻訳:河原里香)

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