最新記事

ミサイル防衛

北朝鮮の核攻撃に備え始めた米ハワイ州

2017年5月30日(火)16時40分
ライアン・ボート

物騒な北朝鮮のミサイル発射実験(写真は中距離弾道ミサイル「北極星2号」 KCNA/REUTERS

<北朝鮮からの核攻撃の脅威を肌で感じ始めたハワイ州が、冷戦期以来の緊急時行動計画の見直しを始めた>

アメリカのトランプ政権と一部の報道機関は、北朝鮮が今にも核攻撃を仕掛けてきそうな調子で騒いでいるが、アメリカ本土に危険が差し迫っているという証拠はほとんどない。

だが、ハワイは別だ。北朝鮮との距離が近いため、既に弾道ミサイルの射程内に入ったとみられ、警戒を怠ってはいない。ハワイ州は、核攻撃に備えた緊急時対応計画を準備中だと、ニュースメディア「マザーボード」は伝える。もともとの計画は冷戦下の1985年に作成されたもので、見直しは今回が初めてだという。

ハワイ州の国防当局は、核攻撃に備えたガイドラインを策定していない。しかし、マザーボードが情報公開法に基づいて情報開示請求を行ったところ、新たなミサイル防衛構想のための「行動計画とマイルストーン」が提示された。そこには、北朝鮮による核攻撃の脅威にハワイ州がどう対処しているかが示されている。

【参考記事】 >サードは無力? 北朝鮮の新型ミサイルは米韓の戦略を無効にする

行動計画では、同州が進めている取り組みの一部について概略が述べられている。例えば、「大勢の死傷者が出た場合の対応をめぐる既存手続きの見直し」「主要スタッフと指導部に対する武器教育の実施」「州議会ならびに立法府指導部に対するブリーフィングの実施」などだ。

煽ったのはトランプ?

ハワイ州はまた、緊急時にテレビやラジオ、サイレンだけに頼るのではなく、緊急警報システムに携帯電話を導入する方法を検討している。

今回初めて見直し・改定が行われているのは、1985年の冷戦時にハワイ州が策定した核攻撃に対する防衛計画だ。策定当時はまだ、積極的に備えるには攻撃のリスクが低すぎると見なされていた。だが今回は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を危惧した議員から強い要請で見直しが決まった。ハワイと北朝鮮の距離はおよそ7400キロで、ICBMは発射から20分以内に到達すると同州は推測している。

米朝間の緊張感が高まっているのは、北朝鮮が立て続けにミサイル発射実験を実施したため。5月29日に発射された弾道ミサイル1発は、450キロ飛行した後に日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。その前は5月14日で、ミサイルは約700キロ飛んで日本海に落下している。それに先立つ4月29日の実験では、ミサイルは発射直後に爆発した。

【参考記事】 >ロシアが東欧の飛び地カリーニングラードに核ミサイル配備?

ドナルド・トランプ大統領の発言が北朝鮮に対する先制攻撃になった可能性もある。4月18日にフォックス・ニュースのインタビューに応えたトランプは、北朝鮮への先制攻撃も選択肢の1つだと言った後、次のように言った。「自分が何をしているか、何を考えているかを事前に勘付れたくない」「どうなるかはそのうちわかる」

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イエメン分離派が分裂、一部が解散発表 指導者側は否

ワールド

イランが国外と遮断状態に、最高指導者「トランプ代理

ビジネス

中国自動車販売、25年3.9%増 今年は横ばいと乗

ビジネス

今年もM&Aは好調見通し、リスクに備え規模追求=J
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中