最新記事

北朝鮮

ミサイル開発に3人のキーパーソン、金正恩が特別に重用

2017年5月26日(金)14時50分

5月26日、北朝鮮が進める核・ミサイル開発は、金正恩朝鮮労働党委員長(写真中央)が特別に重用する3人の人物が鍵を握っている。写真は中距離弾道ミサイルの発射実験を視察する金氏。提供写真(2017年 ロイター/KCNA)

北朝鮮が進める核・ミサイル開発は、金正恩朝鮮労働党委員長が特別に重用する3人の人物が鍵を握っている。

元空軍司令官の李炳哲(リ・ビョンチョル)氏、ベテランのロケット科学者である金正植(キム・ジョンシク)氏、国防科学院の張昌河(チャン・チャンハ)院長の3人だ。

北朝鮮が最近行ったミサイル発射実験の後、国内メディアが伝えた写真や動画には、金正恩委員長がいつもこの顔ぶれと笑顔で抱き合ったり、たばこを吸うなどして「成功」を祝う様子が映っている。

他の側近らが金委員長と話す際には、敬礼したり口を手で隠すなど追従的な態度をとるのが普通で、3人の物腰は明らかに異例だ。ミサイル開発の頂点に立つこの3人に、西側の安全保障・諜報機関は強い関心を示している。

北朝鮮の元軍当局者で、韓国に脱北して今はシンクタンクを経営する安燦一(アン・チャンイル)氏は「金正恩氏は官僚を頼るのではなく、これらの技術者をそばにはべらせ、直接接触して素早く動くよう促している。彼がいかにミサイル開発を急いでいるかの表れだ」と話す。

北朝鮮指導部に詳しい専門家らによると、金正植、張昌河の2人はエリート一家の出身ではなく、3人とも金正恩氏が自ら白羽の矢を立てた。

事情に詳しい韓国高官は「金正恩氏は父(故金正日氏)の主要な側近らとは別に、次世代の人々を育てている」と語った。

北朝鮮指導部についての専門家、マイケル・マッデン氏は「北朝鮮のミサイル計画を21世紀へと持ち込んだのはこの3人だ」と言う。

専門家らによると、3人の中で最も際立った存在が李炳哲氏だ。韓国政府と米財務省によると、現在は弾道ミサイル開発を管轄する労働党・軍需産業局の副局長を務める。

マッデン氏と韓国政府高官によると、李氏は1948年生まれで、ロシアで教育を受けた経験があり、金正恩氏が権力の座を登り始めた2000年代後半に昇進した。

マッデン氏は「3人の中で一番の重要人物が李炳哲氏だ。彼は金正恩氏が(ミサイル開発について)ろくろく語れないころから中枢にいた」と話した。

[ソウル 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中