最新記事

サイバー攻撃

北朝鮮のサイバー攻撃専門「180部隊」 各国の銀行から預金強奪?

2017年5月23日(火)08時56分

「ハッカーたちは痕跡を残さないようにするため、北朝鮮よりも優れたインターネットサービスが利用できる海外へ出向く」とKim氏は説明。こうしたハッカーたちは、北朝鮮の貿易会社の海外支社や、中国もしくは東南アジアの合弁会社の社員を装っている可能性が高いという。

米戦略国際問題研究所(CSIS)の北朝鮮専門家ジェームズ・ルイス氏は、北朝鮮が最初はスパイ活動の手段としてハッキングを利用したが、その後、韓国と米国に対する政治的嫌がらせのために使っているとの見方を示した。

「ソニーへのサイバー攻撃後は、外貨獲得を狙った犯罪活動を支援するのにハッキングを行うように変わった」とルイス氏。「これまでのところ、うまく機能している。麻薬や偽造、密輸といった従来の手法よりも」

サイバー攻撃の費用効率の良さ

米国防総省が議会に昨年提出した報告書によると、北朝鮮は「自国ネットワークがインターネットとほぼ切り離されていることもあり、報復攻撃を受けるリスクがほとんどない、費用効率が良く、非対称かつ否定可能な手段としてサイバー攻撃をみている」可能性がある。

「第3国のインターネット基盤を利用している可能性が高い」と同報告書は指摘している。

一方、韓国当局者らも、北朝鮮がサイバー戦を仕掛けているというかなりの証拠があると語る。

「北朝鮮は攻撃元を隠すため第3国を通してサイバー攻撃を行っており、そうした第3国のIT・通信技術の基盤を利用している」と、韓国外務省の安総基第2次官はロイターに対し、文書でこのように回答した。

同次官によると、バングラデシュ中銀のほか、フィリピンやベトナム、ポーランドの銀行に対する攻撃でも北朝鮮の関与が疑われている。

北朝鮮が160に及ぶ韓国の企業や政府機関のコンピューター14万台超に侵入し、ライバルである韓国に大規模サイバー攻撃を仕掛ける下準備をする長期計画の一環として悪意のあるコードを植え付けたと、韓国警察は昨年6月に発表していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB金利据え置き、将来の利下げペースの鈍化示唆

ビジネス

日鉄によるUSスチールの買収完了、米政府が黄金株保

ワールド

イラン、トランプ氏の降伏要求に反発 中東紛争の出口

ワールド

日産2車種「追加調査の必要性なし」 米NHTSA、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 7
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 8
    電光石火でイラン上空の制空権を奪取! 装備と戦略…
  • 9
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 10
    「音大卒では食べていけない」?......ただし、趣味…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中