最新記事

サイバー攻撃

北朝鮮のサイバー攻撃専門「180部隊」 各国の銀行から預金強奪?

2017年5月23日(火)08時56分

5月21日、北朝鮮の主要な工作機関にはサイバー攻撃を専門に行う「180部隊」と呼ばれる特殊部隊が存在し、最も大胆かつ成功を収めたサイバー攻撃の一部を実施した可能性があると、脱北者や当局者、インターネットセキュリティーの専門家は指摘している。写真は兵士を乗せた北朝鮮軍のトラック。平壌で4月撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

北朝鮮の主要な工作機関にはサイバー攻撃を専門に行う「180部隊」と呼ばれる特殊部隊が存在し、最も大胆かつ成功を収めたサイバー攻撃の一部を実施した可能性があると、脱北者や当局者、インターネットセキュリティーの専門家は指摘している。

米国や韓国のほか、世界10カ国以上で近年発生している、大半が金融ネットワークを狙った一連のサイバー攻撃は、北朝鮮が行っているとみられている。

また、今月150カ国・地域で30万台以上のコンピューターに感染した身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)「WannaCry(ワナクライ」による世界的なサイバー攻撃が北朝鮮と関連している可能性を示す技術的証拠を発見したことを、サイバーセキュリティー専門家は明らかにしている。これに対し、北朝鮮は「ばかげている」と一蹴した。

北朝鮮に対する容疑の核心は、同国と「ラザルス」と呼ばれるハッカー集団とのつながりだ。同グループは、バングラデシュ中央銀行の口座がハッキングされ8100万ドルが盗まれた昨年の事件と、2014年のソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃と関連があるとされている。米国政府は、ソニーへの攻撃を巡り北朝鮮を非難。一方、バングラデシュ中銀の事件については、検察が北朝鮮を立件すると一部の米当局者が明らかにしている。

ただ決定的な証拠はなく、刑事訴訟もまだ起きていない。両事件について、北朝鮮も関与を否定している。

北朝鮮は世界で最も閉鎖的な国の1つであり、同国による地下活動の詳細を入手することは困難だ。だが、北朝鮮の専門家や、韓国や西側に亡命した脱北者はいくつかの手掛かりを提供している。

コンピューター科学が専門の元教授で2004年に韓国に脱北し、今でも北朝鮮内部に情報源を持つKim Heung-kwang氏は、資金集めを目的とする北朝鮮のサイバー攻撃は、主要な対外工作機関である「偵察総局(RGB)」の一部である「180部隊」によって組織されていると指摘。

「180部隊の任務は、金融機関に不正侵入し、銀行口座から金を盗み出すことだ」とKim氏はロイターに語った。同氏は過去に、一部の教え子が北朝鮮のサイバー軍に参加していると語っていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中マドリード協議、2日目へ 貿易・TikTok議

ビジネス

米FTCがグーグルとアマゾン調査、検索広告慣行巡り

ビジネス

中国新築住宅価格、8月も下落続く 追加政策支援に期

ワールド

北朝鮮、核兵器と通常兵力を同時に推進 金総書記が党
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中