最新記事

映画

ディズニー映画のヒット率が高まっている理由

2017年4月13日(木)11時15分
宇都宮 徹(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

ヒット作を生み出すもうひとつの理由が、充実したスタッフ陣にある。ディズニー・アニメーション・スタジオに参画するスタッフには、『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーア氏や、『塔の上のラプンツェル』や『ズートピア』を手掛けたバイロン・ハワード氏、公開中の『モアナと伝説の海』の監督を務めたジョン・マスカー氏、『アナと雪の女王』では脚本と共同監督を務めたジェニファー・リー氏、プロデューサーのクラーク・スペンサー氏など、大作を手掛けることのできる人材がそろう。

ピクサー側にも、長年ラセター氏の相棒として、数々の作品の監督を手掛けてきたアンドリュー・スタントン氏を筆頭に、『メリダとおそろしの森 』の監督を務めたマーク・アンドリュース氏や、『トイ・ストーリー3』などの監督を手掛けたリー・アンクリッチ氏、プロデューサーのダーラ・K・アンダーソン氏など多士済々の面々がいる。

ユニークな制作体制と豊富な人材を背景に、公開案件、いわば"パイプライン"を充実させている。今後2~3年を見ても、年に複数本の期待作がそろう。

ディズニー・アニメーション・スタジオでは、2018年春の公開をめざして、『シュガー・ラッシュ』の続編の制作に取り組んでいる。ラルフとヴァネロペが、今度はインターネットの世界に入り込む話になるという。さらに、2018年秋公開予定で、「ジャックと豆の木」を題材とした、ミュージカル作品『GIGANTIC』(原題)の制作を進めているという。

「マックィーンの新しい物語を見せる」

一方のピクサー・スタジオでは、7月15日に『カーズ/クロスロード』の公開が控えている。「カーズ」シリーズの続編で、ベテランレーサーとなった主人公・マックィーンが、新世代のライバルたちとの力量差にがく然とし、人生の岐路に立つ姿を描く。

『カーズ/クロスロード』は、ラセター氏イチ押しの作品だ。3月下旬に来日した際には、「感動的で心温まる物語。私達のヒーロー、マックィーンの新しい物語を見せる。レーサーとはなんなのか、そして誰も信じてくれないときに自分を信じることの意味などが込められている」と熱く語った。

さらに12月23日には、メキシコの祝祭「死者の日」をテーマにした作品『リメンバー・ミー』の公開が決定した。リー・アンクリッチ監督、プロデューサーはダーラ・K・アンダーソン氏と、『トイ・ストーリー3』のスタッフが中心で、こちらも期待が高い。さらに2018年夏には『Mr.インクレディブル2』、2019年には『トイ・ストーリー4』と、名作の続編の公開が予定されている。

「ディズニー・アニメーションの作品を誇らしく思っている。ウォルト・ディズニーがいるからこそ僕はこの仕事が出来ている」とラセター氏。100年近い伝統と、現役クリエーターたちの斬新なアイデアとが重なり、これからも多くのヒット作を作り出していくだろう。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中