最新記事

朝鮮半島

韓国THAAD配備に反発、中国が韓国旅行商品の販売停止へ

2017年3月3日(金)15時49分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

中国国家観光局は旅行代理店に対して、韓国行き旅行商品の販売を停止するよう指示した YTN newsより

<今年前半にも韓国に配備が予定されるTHAADをめぐり、安全保障上の脅威として強硬に反対している中国が報復措置を取った。中国国家観光局が主要都市の旅行代理店に対し韓国行き旅行商品の販売停止を指示。今年国交25周年を迎える両国の関係は一気に悪化しそうだ>

韓国と在韓米軍が、北朝鮮のミサイル攻撃に対抗する高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配備を進めていることに反発して、中国政府が新たな妨害措置に出た。中国政府は国内の旅行代理店に対して、韓国行きのパック旅行の販売を停止するよう指示した。聯合ニュースなどが報じている。

中国の旅行業界の関係者によると、中国の政府機関・中国国家観光局は2日、北京で旅行代理店を招集し、韓国行きのすべてのパック旅行の販売をオンラインとオフラインともに停止するよう口頭で指示。さらに現地の旅行業界関係者によれば、3日には上海市、江蘇省、山東省、陝西省の観光局が主要な旅行代理店の関係者を集めて15日から韓国観光の商品を販売中止するよう口答で指示したという。

【参考記事】韓国THAAD早ければ4月にも配備へ 中国が猛反発

これによって、韓国を訪問したいすべての中国人向けのパックツアーや自由旅行は、旅行代理店経由では購入できなくなる。その一方で国家観光局は、すでに販売されている今月中旬までのツアーは実施するように命じたという。今回の措置は、中国全土のほかの省や直轄市でも旅行代理店に適用されるとみられている。この停止措置が韓国の観光業界に与える影響は甚大だ。

韓国観光公社によると、昨年韓国を訪れた外国人観光客1720万人のうち、その約半数にあたる806万人が中国人観光客だという。中国人観光客の約4割がパックツアーで韓国を訪れており、個人が自由旅行で訪れる際も代理店経由で手配する割合が高いことから、今回の代理店での韓国行き商品販売停止によって、中国人観光客は400万人減ることが予想されるという。また旅行客の韓国国内での消費も概ね半減し、年間で約10億ドルの損失が見込まれるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、カタールの米空軍基地をミサイル攻撃 米側に

ビジネス

米総合PMI、6月は52.8に低下 製造業の投入価

ワールド

対イラン米攻撃の「合法性なし」と仏大統領、政権交代

ワールド

米、カタールの米空軍基地への脅威を厳重監視=ホワイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中