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アゼルバイジャンのトランプ・ホテルは利益相反の巣

2017年3月8日(水)09時46分
ロビー・グラマー

「バクーのホテル事業が示すのは、世界各地の汚職政権が関わるビジネス取引で、トランプが移民に求めているような『厳格な審査』を行わなかったことだ。米議会もトランプ政権も、トランプ大統領やその家族が、所有するビジネスを通じて直接間接にテロリストへの資金提供や資金清浄その他の不適切な取引に関与していないかどうか調査を行う義務がある」と、民主党のシェロッド・ブラウン上院議員(オハイオ州選出)はニューヨーカーの取材に対しメールで回答した。

20カ国以上に事業を展開するトランプ帝国が抱える利益相反のタネは、バクーのホテルだけではない。トランプは大統領就任後に全ての事業から手を引き、経営権を長男のドナルド・トランプ・ジュニアと二男のエリック・トランプに譲渡すると誓った。だが保有資産を一時的に信託に移したに過ぎず、権利は保有している。米政府倫理局のウォルター・シャウブ局長など倫理の専門家は、トランプは大統領職を務めながら、事業を十分に切り離していないと指摘している。彼らが懸念するのは、トランプが政策決定の際、自社の利益を優先することだ。

トランプ帝国の代償を払うのは、アメリカの納税者だけでない。ニューヨーカーによると、アゼルバイジャン政府は2011年、「政府にとって重大な意義のある」事業を立ち上げるとして、30戸の家族を強制的に立ち退かせた。その事業こそ、いまだベールに包まれたままのトランプ・ホテルなのだ。

From Foreign Policy Magazine

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