最新記事

北朝鮮

北朝鮮、新型ロケットエンジンを実験 数年でICBM実用か?

2017年3月20日(月)22時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

北朝鮮が18日東倉里で新型ロケットエンジンの地上噴出試験を行った (c)nodong news

<北朝鮮が19日に新型ロケットエンジンの実験を行った。今回の実験は、米ティラーソン国務長官と中国の習近平国家主席の会談に合わせるかのようにして行われたが、これは単なる示威行為ではなく、北朝鮮がICBMの打ち上げ技術開発に着手したサイン、と見られている>

北朝鮮は18日、新型高出力ロケットエンジンの地上噴出試験を行った。金正恩(以下、キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が指揮をしたと、朝鮮中央放送と朝鮮中央通信が19日報道した。

ティラーソン米国務長官が15日からの日韓中3カ国歴訪を通じ、オバマ政権とは違う北朝鮮へ強力な圧力をかけるメッセージを表明した。これに対して北朝鮮は、新型高出力ロケットエンジンの噴出試験を公開することで、今後も長距離ミサイルと衛星発射用ロケットなどの中核技術を発展させる作業を続けていくという意志を示したものとみられる。

北朝鮮の朝鮮中央通信は同日、「国防科学者、技術者たちは、これまでのエンジンより推進力が高い大出力エンジンを完全に朝鮮独自の技術で新たに研究製作し、初めての試験で一気に成功したことで、国防工業建設史に特記するもう一つの奇跡を創造した」と強調した。

さらに「今回の試験は燃焼室の推進力特性とタービンポンプ、制御系統など高出力エンジンの全般的な技術的指標を確認することを目的として行われ、結果として目標値に到達した」と伝えた。

また、キム・ジョンウン総書記は、今回の実験について「今日達成した巨大な勝利がどのような思弁的な意義を持つかを全世界がすぐ見られるようになるだろう」と語り、新たなミサイルの発射を行うことを示唆している。

この発表についてNEWSISなど韓国メディアは、北朝鮮がこれまで新しいエンジンの試験を行うときにはどのような用途のものかを明確にしていたのに、今回は明らかにしなかった理由について注目されると報じている。

専門家によれば、北朝鮮の発表した写真をもとに昨年9月に試験をした静止衛星運搬用ロケットエンジンの発展系とみられ、大陸間弾道ミサイル(以下、ICBM)のエンジンとして開発されている可能性が高いという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

基調的な物価上昇率、徐々に高まり 見通し期間後半は

ワールド

米中外相が北京で会談、中国のロシア支援など協議

ワールド

中国全人代常務委、関税法を可決 報復関税など規定

ワールド

エクイノール、LNG取引事業拡大へ 欧州やアジアで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中