最新記事

中国

トランプ政権誕生と中国

2017年1月20日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 ダボス会議は各国の競争力を指数化して公表し、グローバル化に貢献する経営環境を推奨している。2002年には同時多発テロの影響がありニューヨークで開催されたが、中国の大連などで開催されたこともある。世界レベルの経済フォーラムだ。

 日本からは2001年に当時の森首相が現職の首相として初めて出席し、2008年には福田(元)首相が、そして2009年には麻生(元)首相が出席し、しかも2年連続で演説さえしている。

 ただ基本的には発祥地の関係から、ヨーロッパ経済界に強い影響力を持つ傾向があり、習近平国家主席が、トランプ政権誕生前夜という、このタイミングでダボス会議に出席しただけでなく、基調講演まで行なった事実は大きい。

 1月18日付の本コラム<習近平、ダボス会議で主役 ――「鬼」のいぬ間に>でも書いたが、習近平国家主席は「中国こそはグローバル経済の旗手である」という印象を与えるスピーチをした。

 それに対してダボス会議のシュワブ会長は習近平国家主席のスピーチを絶賛しただけでなく、「中国こそが今後のグローバル経済を牽引していく大国だ」と二人の会談で述べている。中国メディアが伝えた。

 イギリスのメイ首相が同日、EU(欧州連合)からの離脱を正式に発表し、ヨーロッパでもグローバル経済が揺れる中、トランプ次期大統領はイギリスの行動を絶賛し「このあともイギリスにならう国が続くだろう」とツイートした。EU加盟国が一斉にトランプ次期大統領に反発した、まさにそのタイミングでの習近平国家主席のスピーチは、あたかも「中国はEUの味方だ」というエールを送ったような形になった。

 中国にとっては、一見、「結構づくし」のように見えるかもしれない。

外交安全に関して追いつめられる中国

 しかし、なぜ習近平国家主席自らが、初めてダボス会議に出席しなければならなかったかというと、実は裏を返せば、中国が外交安全に関しては(あるいは国内事情においても)、完全に「追い詰められている証拠」なのでもある。

 昨年12月13日のコラム<トランプ氏「一つの中国」疑問視に中国猛反発>や、今年1月12日のコラム<中国、次は第二列島線!――遼寧の台湾一周もその一環>など、本コラムの多くで書いてきたように、トランプ次期大統領が「一つの中国」原則論にメスを入れたことにより、中国は退路のないところに追い込まれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、

ワールド

北朝鮮の金総書記、空軍の核戦争抑止力を強調 式典で

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税」...なぜ他国には真似できない?
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中