最新記事

自動車

NAFTA再交渉、自動車の「原産地」厳格化めぐり議論再燃か

2017年1月25日(水)09時18分

1月23日、米大手自動車メーカーは米国内で販売する利幅の大きい一部人気車種をメキシコから輸入しているため、トランプ新政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入ると表明したことで、自動車の原産地規則を巡る議論が再燃しそうだ。写真は、ミシガン州デトロイトの北米国際自動車ショーで8日提供されたシボレー・トラバース2018年モデルの写真(2017年 ロイター/Chevrolet/Handout via REUTERS)

 米大手自動車メーカーは米国内で販売する利幅の大きい一部人気車種をメキシコから輸入しているため、トランプ新政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入ると表明したことで、自動車の原産地規則を巡る議論が再燃しそうだ。

 トランプ大統領は23日、適切な時期にメキシコとカナダの両国首脳と会談し、NAFTAの再交渉に着手すると述べた。24日にはゼネラル・モーターズ(GM)など米大手自動車メーカー3社のトップをホワイトハウスに招き、朝食会を開く。

 自動車業界の関係者は、トランプ大統領がカナダとメキシコに対して原産地規則を厳格化し、輸入関税をゼロにするために必要な域内部品調達比率を引き上げるよう求めるとみている。NAFTAでは乗用車とライトトラックの場合、原産地が米国、カナダ、メキシコの域内であると認められるには最低62.5%の域内調達比率が必要。

 米政府は別途、1992年以来、米国とカナダで製造された自動車を米国で販売する場合に域内調達比率の表示するようメーカーに義務付けている。自動車ラべリング法に基づく2016年分の報告によると、GMの「シボレー・トラバース」とホンダがオハイオ工場で製造した「アコード」は米国製とカナダ製の部品の調達比率が80%となっている。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<0QXR.L>のピックアップトラック「ラム」は59%。

 トランプ大統領はNAFTAの見直しについて具体的な提案は示していないが、製造業者に対しては国産の部品購入や国内での生産を増やすよう求めている。

 自動車メーカーは現状維持で得るものが非常に多い。GMは昨年、フルサイズピックアップトラック「シボレー・シルバラード」とピックアップトラック「GMCシエラ」のメキシコからの輸入が合計で約31万5000台だった。これは利幅の大きい両モデルの米国内での販売台数全体の約40%に当たる。コンサルタント会社LMCオートモーティブのデータによると、GMは国内販売の14%をメキシコ製造車が占めている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中