トランプ税制改革を左右する減税効果計測のダイナミック・スコアリング
12月28日、トランプ次期米大統領が来年、どこまで抜本的な税制改革を進めることができるかを決める1つの要素は、議会両院税制合同委員会(JCT)が税制変更がマクロ経済及ぼす影響からのフィードバック効果をどのように判断するかになるだろう。写真はアリゾナ州で8月撮影(2016年 ロイター/Carlo Allegri)
トランプ次期米大統領が来年、どこまで抜本的な税制改革を進めることができるかを決める1つの要素は、議会両院税制合同委員会(JCT)が税制変更がマクロ経済及ぼす影響からのフィードバック効果をどのように判断するかになるだろう。
JCTは議会規則に基づき、税制変更が経済成長などを通じて税収に跳ね返ってくる効果を推計する、いわゆる「ダイナミック・スコアリング」の結果を示すことが義務付けられている。このフィードバック効果が大きいほど、財政赤字を抑制できるとみなされる。
トランプ氏と議会共和党が30年来の大規模な税制改革を計画している中で、JCTに減税推派からかかる圧力は大きい。減税推進派は、フィードバック効果があまりに小さく推計されて、減税法案が財政赤字をさらに大きく増やすと証明されてしまう事態を懸念しているのだ。
保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の経済政策フェローのデービッド・バートン氏は「問題はJTCのスタッフがフィードバック効果を最小限にとどめるようないくつかの前提条件を採用し、税制改革がもたらす適切な効果を過小評価している点にある」と指摘する。
実際にJCTが低調なフィードバック効果を公表すれば、共和党は減税の規模を縮小するか、一時的な措置とする可能性がある。そうなるとトランプ氏が選挙中に打ち出した公約は深刻な制約を受けてしまうだろう。
一方でアナリストからは、フィードバック効果を高めに提示することを求める圧力で政治的に都合の良い数字が作成され、議会を通過する役には立っても結局財政赤字を膨らませる危険性に警鐘が鳴らされている。
下院では昨年、共和党が主導する形で新たな議会規則が採択されてJCTは、ダイナミック・スコアリングによる1つの推計結果のみを提示しなければならなくなった。それ以前は、推計作業の不確実性を反映して異なったモデルに基づいた複数の推計結果が明らかにされてきた。