最新記事

中国経済

人民元安続くとの見方強まる、当局は資本流出対策に躍起

2016年12月6日(火)11時07分

12月5日、中国当局は資本流出を阻止するための対策に躍起だが、市場では人民元の下落と資本流出の循環が続くとの見方が強まっている。写真は人民元紙幣。北京で2011年3月撮影(2016年 ロイター/David Gray)

 中国当局は資本流出を阻止するための対策に躍起だが、市場では人民元の下落と資本流出の循環が続くとの見方が強まっている。

 人民元が対ドルで30%下落すると唱え続けてきた米国の著名ヘッジファンド・マネジャー、カイル・バス氏は、現在の資本流出が自身の見方を裏付けていると言う。

 バス氏はロイターに対し、「中国の資本流出は見かけ以上にひどい。だから政府はここ2カ月、人民元の下落を容認しているのだ。米国の金利が上昇する見通しなので、元の下落圧力は続くと考えている」と語った。

 人民元は今年に入って約6%下落し、2日時点で1ドル=6.90元弱となった。

 報道によると、朱光耀・財政次官は3日、当局が資本流出を注視していると述べた。

 複数の関係筋が2日語ったところでは、中国最大の外為銀行である中国銀行は上海で、法人顧客の外貨購入を最大100万ドルまでに制限し始めた。

 関係筋によると、中国国家外為管理局(SAFE)は従来、5000万ドル以上の海外送金について調査していたが、現在は対象を500万ドル以上に引き下げた。

 足元の人民元の下落を受けて、市場では元の売り持ちが大幅に増えている。

 米ゴールドマン・サックスは来年の推奨トレードの第2位にドル買い・人民元売りを挙げた。中国国内の人民元取引は厳しく管理されているため、オフショアの期間1年のフォワード取引を使うよう勧めている。

 米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のアジア新興国市場ポートフォリオ管理責任者、ルーク・スパジク氏は、人民元が着実に下落を続けると見ている。「大雑把に言って、毎年5─7%のペースで下落すると考えるのが妥当だ」と言う。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 9
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中