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中国経済

人民元安続くとの見方強まる、当局は資本流出対策に躍起

2016年12月6日(火)11時07分


悪循環

 中国政府は個人の外貨購入について、年間5万ドルまでという枠を設けている。しかし多くの個人は親戚の枠を利用してより大きな額を海外送金している上、企業はインボイスの偽装を通じて巨額を海外に移し、政府にとって悩みの種となっている。

 3兆ドルを超える中国の外貨準備は10月、450億ドル以上も減った。11月の数字は7日に発表される。

 10月の減少は人民元レートの下落による部分が大きい。しかし中国人民銀行(中央銀行)上海事務所のWang Zhenying統計調査局長はインタビューで「人民元の下落が資本逃避を引き起こし、資本逃避が人民元にさらに大きな圧力を加える。従ってこの悪循環を断ち切る必要がある」と警戒感を示した。

 アナリストは、ファンダメンタルズに基づいて人民元は下落すると見ている。中国の景気が来年減速する見通しなのに加え、トランプ次期米大統領の経済政策で米金利が上昇するとの見方から、新興国通貨全般が下落している。

 (Vidya Ranganathan and Jennifer Ablan記者)

[シンガポール/ニューヨーク 5日 ロイター]


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