最新記事

日米関係

安倍首相、トランプ次期大統領と友好強調 TPP打開になお課題

2016年11月18日(金)19時09分

11月17日、米国を訪問中の安倍晋三首相は、ドナルド・トランプ次期米大統領と会談した。会談終了後、両者は友好関係の構築を強調して見せたが、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる隔たりはなお大きい。提供写真(2016年 ロイター /Cabinet Public Relations Office/HANDOUT via Reuters)

 米国を訪問中の安倍晋三首相は17日夕(日本時間18日朝)、ドナルド・トランプ次期米大統領と会談した。会談終了後、両者は友好関係の構築を強調して見せたが、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる隔たりはなお大きい。個人的な信頼関係の醸成が政策面での差を埋められるかどうかは不透明な情勢だ。

早い段階での信頼構築へ、大きな一歩

 トランプ氏の自宅で行われた会談は「大変温かい雰囲気」(安倍首相)の中、予定時間の倍に当たる約1時間半にも及んだ。

 安倍首相が記者団に「ともに信頼関係を築けると確信を持てる会談だった」と述べる一方、トランプ氏も自身のフェイスブックで「素晴らしい友好関係を始められて嬉しい」と投稿。

 麻生太郎財務相によると、トランプ氏は会談後に首相をトランプ・タワーの下まで見送りに出たといい、両者の友好関係を印象付けた。

 会談の内容は明らかになっていないが、日本政府内でも「早い段階でトランプ氏とのチャネルを作れた意義は大きい」と評価する見方が多い。菅義偉官房長官は「(トランプ氏の)当選後、世界の首脳で一番初めに対面形式の会談ができた」と強調。「新政権発足前から首脳間の強い信頼関係を築いていく上で、大きな一歩を踏み出す素晴らしい会談になった。良いスタートが切れた」と語った。

TPP打開へ、問われる手腕

 もっとも、トランプ氏は選挙期間中、安倍政権が成長戦略の柱に位置付けるTPPに反対の立場を表明している。首相は15日の国会審議でも「君子豹変す」とのことわざを引用してトランプ氏を念頭に「国や国民のためにメンツを捨てて判断することが指導者に求められる」と発言。TPP実現に向け、将来的にトランプ氏を説得したい考えだが、ある政府関係者は「今回の会談でTPPが大きく取り上げられた可能性は低い」と指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領代行、米との協力を各省庁に指示 「敏感国

ワールド

ロシア国防省、ウクライナ南部で前進と表明 ザポロジ

ワールド

トランプ氏「フーシ派による攻撃はイランの責任」、深

ワールド

外国企業トップ、習主席と会談へ 年次フォーラムで訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層
  • 2
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量」が多い国は?
  • 4
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 5
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 6
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 7
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 8
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 8
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 9
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 10
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中