最新記事

天津爆発

天津爆発関係者死刑判決――習近平暗殺陰謀説は瓦解

2016年11月14日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 1.濱海新区で危険物取扱を含めた営業許可証を得るには、少なくとも「港口経営許可証」と「港口危険貨物作業附証」の二つを取得していなければならない。

 2.特に「港口危険貨物作業附証」の審査は厳しく、環境評価委員会、安全評価委員会、衛生評価委員会など、さまざまな評価委員会の審査を受け、それらすべてに合格した上で、許可証が出る。

 3.ところがその審査の過程で不正が行われ、疑義を申し出た第三者評価委員に関しては理由を付けて行政側が除名した。すべての審査過程は、物流会社側から賄賂をもらっている評価会社や行政側がコントロールし、書類にも操作を加えて偽造書類を作成し、危険物のコンテナを取り扱う許可証を2015年6月23日に行政側が発行(危険物取扱以外の営業許可証は2012年11月28日取得)。爆発事故は危険物処理に関する営業許可証を取得した後、2カ月も経たないうちに起きてしまった。行政側で収賄の罪に問われた者の中には、天津市交通運輸局や港口管理局の元副局長などがいる。

 4.偽造書類の中には、たとえば危険物が梱包されているコンテナを保存する倉庫の面積が500平方メーターを越えた場合には、倉庫の建設場所は周辺の公共建築物や主要幹線道路から1000メートル離れていないといけないという規定があるが、この物流会社は、倉庫の面積が3622.2平方メートルもあるのに、申請書では541.84平方メートルと虚偽の数値を書き込んでいる。行政側はそれを承知の上で、収賄により不正を見逃している。

 5.またさまざまな評価委員会の申請書の中には、近隣住民の意見などを集めて書きこんだ書類が必要だが、賄賂を渡された評価会社などの「従業員」が「近隣住民」に成りすまして、危険物を扱うことになる物流会社に対して高い評価を書き込んでいた。

 ほかにもいろいろあるが、あまり多く書くと焦点が見えなくなってくるので控える。裁判ではこれら偽造書類の証拠が数多く提出され、関係者自身が贈賄・収賄や偽造書類作成に関する事実を認めた供述が、証拠物件とともにナマの声で報道された。

習近平暗殺陰謀説の矛盾と虚偽性

 この天津大爆発事故に関して、日本の一部では「これは習近平を暗殺するための陰謀だった」とする説があり、一定の関心を集めている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

高市首相、応援演説で円安メリットに言及 米関税のバ

ワールド

米政府機関の一部が閉鎖、短期間の公算 予算案の下院

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中