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圧倒的な「透け感」の星形スケルトンムーブメント

2016年10月14日(金)17時35分
笠木恵司 ※Pen Onlineより転載

マイクロローターによる自動巻き機構(11時位置)を搭載したスケルトン・モデル。ケースはカーボンファイバーを加圧成形しており、硬度が高く軽量。独特の地紋が個性的で高級感。


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ロジェ・デュブイ エクスカリバー オートマティック カーボン スケルトン

 近年は機械式のメカニズムを強調したオープンワークやスケルトンが増加してきましたが、これほど大胆で圧倒的な「透け感」のムーブメントは希有といえるのではないでしょうか。

 ロジェ・デュブイは2015年にマイクロローターによる自動巻き機構を搭載した「エクスカリバー オートマティック スケルトン」を発表。今年登場した新作は、このムーブメントを独特のカーボンケースに搭載したものです。

(参考記事:ストイックなカーキ一色のコラボ「G-SHOCK」は、軍モノの服と相性バツグンのカッコよさ!

「エクスカリバー」は、刻みを施したフルーテッドベゼルにトリプルラグを備えた個性的なケースを特徴とするコレクションですが、この新作ではカーボンをSMC(シート・モールディング・コンパウンド)と呼ばれる製法で加圧成型。炭素繊維が積層されているため、ケース表面に特有の地紋が浮き出ており、高級感を醸し出しています。

(参考記事:nendoが手がける時計の新ブランド「10:10」が誕生! 第1弾「Window」はこんなにユニークです

 このカーボンケースに搭載された透明感の高いムーブメントは、ダイヤル右下に動力ゼンマイを収納した香箱などを支える星形のブリッジをもつことから「アストラル・スケルトン」と通称されています。自動巻きは半円形のローターがムーブメントを覆うことになるのでスケルトンには不向きなのですが、ロジェ・デュブイでは小径のマイクロローターによる自動巻き機構を開発。このローターにもていねいに星形の"肉抜き"を施すことで、強度の限界までパーツを削ぎ落としたスケルトンの小宇宙にみごとに溶け込ませています。

(参考記事:骨太で堅牢、プリミティブな道具感覚が心地いい! 「イッセイ ミヤケ ウオッチ」の新作「W automatic」とは?

 同ブランドでは初の自動巻きスケルトン・ムーブメント(キャリバーRD820SQ)となりますが、マイクロローターの複雑な立体感や回転するアクションが新たな魅力として加わったといえるでしょう。

 思わず息を呑むようなダイナミックな美しさだけでなく、軽量で硬度も高いカーボンケースや自動巻きも含め、実用性と信頼性を兼ね備えた次世代スケルトンとして時計愛好家には垂涎のモデルではないでしょうか。

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ヒトデのように星形にデザインされたブリッジが特徴の「アストラル・スケルトン」。機械式のメカニズムがまさにアートになり得ることを感じさせる。マイクロローターの立体感も魅力。


ケースはカーボンのSMC(シート・モールディング・コンパウンド)。ケース径42㎜、厚さ12.14㎜。マイクロローターによる自動巻き、ストラップはアリゲーターとラバー、ジュネーブ・シールを取得。¥7,884,000

問い合わせ先:ロジェ・デュブイ TEL:03-3288-6640 www.rogerdubuis.com/ja/

※スペック詳細や商品の取り扱い店舗への問い合わせ先を「時計Search」で見る

※Pen本誌より転載

笠木恵司
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房などの取材経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)

※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。
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