最新記事

2016米大統領選

大統領選の知られざる争い 候補者は自身の健康とどう戦い折り合うか

2016年9月19日(月)18時30分

8月12日、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏が肺炎で倒れたことは、米国の有権者がめったに気にすることのない問題に光を当てた。写真は5日、米オハイオ州クリーブランドで行われた演説中に咳をするクリントン氏(2016年 ロイター/Brian Snyder)

 民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏が肺炎で倒れたことは、米国の有権者がめったに気にすることのない問題に光を当てた。

 長い選挙運動期間、睡眠不足、国内を股に掛けた移動、劣悪な食生活、そして支持者の赤ん坊へのキス──。こうした要因が積み重なり、大統領候補やその側近の健康を損なっているのだ。

 選挙活動用の飛行機やバスに閉じ込められて何カ月も過ごす人々にとって、ウィルス感染などの病気を避けることは不可能に近いのかもしれない。

 2008年の大統領選挙で共和党候補となったジョン・マケイン上院議員のもとで報道官を務めたことのあるブルック・ブキャナン氏は、サウスカロライナ州ビューフォートで、緊急治療室に入るために選挙遊説から離脱した。彼女は呼吸器系の疾患にかかり、耳にも2種類の感染症を抱えていたという。

「頑張らなければならない状況もあるが、それが限界まで来てしまうと、お荷物になってしまう」とブキャナン氏は言う。「私は、山ほど抗生物質を投与され、翌日には陣営に復帰した」

 11月8日の米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ候補と対決するクリントン氏が体調を崩したことで、健康面での不安に関する根拠のない主張に火をつけるのではないかと支持者らは憂慮している。

 とはいえ、両党のベテラン政治家たちは一様に、病気は歓迎されないが、選挙遊説においては珍しくもない状況だと語る。

 今年前半、共和党の大統領候補予備選に出馬したテッド・クルーズ上院議員の上級顧問を務めたアリス・スチュワート氏の記憶によれば、選挙運動のなかで数回にわたってクルーズ候補の記者会見を記録していたが、そのあいだ彼女はずっと咳き込んでばかりだったという。

 クルーズ候補の選挙運動用の飛行機は「空飛ぶウィルス培養皿」だったと彼女は言う。「とにかく無理矢理にでも乗りきるしかない。遊説で回っているあいだは家に帰れないのだから」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、11月は前年比+3.2%に鈍化 3月以来

ワールド

中国訪日客、11月は3.0%増に伸び大幅鈍化 長官

ビジネス

MUFG、印ノンバンクに40億ドル以上出資へ=関係

ビジネス

日経平均は反発、米雇用統計通過で安心感 AI関連も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中