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【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(後編)

2016年8月6日(土)06時07分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

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ダニエルの自宅に飾られた折り鶴(16年5月、シカゴ) Satoko Kogure for Newsweek Japan

――では逆に、子供や孫に伝えたいことは?

 あらゆる物語について、真実は常に中間にある。すべての物語はその人の視点で語られていて、必ず偏っている。語る人の生い立ち、両親、育った場所、仕事の内容などすべてが視点に影響するし、人は自分なりの見方があるとそれに固執するものだ。

 しかし私は、世界は信じられないほど複雑だということを知った。ものの捉え方は膨大にあり過ぎて、全部を網羅することは不可能だ。

 それでも、第二次大戦が起きるに至った歴史について、全体像を知るためにできる限りの努力をすべきだと思う。可能な限り多くの視点で物事を見るべきだと、私は子供たちに常に教えようとしている。偏見にとらわれるな。自分と違うからといって相手を嫌ったり無視したりするな。相手がなぜそう考えるのか理解できるよう努力しろ、と。

 私が付き合いにくいと感じるのは、極端な思想を持ち、それを少しも曲げようとしない人だ。原爆投下は誤った判断で、祖父は最悪だという見方もあれば、反対に日本人が戦争を始めたのだから当然の報いだという見方もあるが、どちらも同じくらい不愉快だ。その中間に立つ人々が、理解するのに苦しんでいるのだと思う。

――オバマ大統領の広島訪問についてどう思いますか。

 素晴らしいことだ。そう思わない理由がどこにあるのだろう。私はホワイトハウスに手紙を送り、広島と長崎訪問を促したことがある。訪問が難しければ、アメリカ国内で被爆者と面会すべきだと進言したこともある。

 オバマは09年(のプラハ演説で)、アメリカは原爆を使用した唯一の国として核兵器の削減や廃絶に主導的役割を果たすべきだと語っていた。だから私が12年に訪日した際、被爆者はオバマに来てほしいと言っていた。

 被爆者が望んでいるのは核廃絶だ。広島で亡くなった人々に敬意を示すのはもちろん立派な行為だが、オバマ大統領には少なくとも数人の被爆者に会って直接話を聞いてほしいと思う。

――とはいえ、オバマは原爆投下を命じた張本人ではありません。それでも彼が広島に行くことの意味とは?

 現職の大統領だからだ。ジミー・カーター元大統領も訪れているが、退任後だった。現職の米大統領が広島を訪れるのはこれが初めてとなる。原爆は今も存在しており、大きな政治課題だ。オバマなら、原爆は誰にとっても悪であり、アメリカが核廃絶を主導していくとの決意を語ることもできる。

――オバマが謝罪することはないでしょうが、もしも彼が原爆投下は間違っていたと述べたら、あなたはどう思うでしょう?

 そんなことは言わないだろう。これは私の想像でしかないが、もしそう言ったとしても、一部の日本人は喜ぶかもしれないが、多くは喜ばないと思う。私の感覚では、それはすべての日本人が望んでいることではない。

 それに、原爆投下は過ちだったと口にすれば、大半のアメリカ人は激怒するだろう。繰り返しになるが、謝罪は求められてはいないのだと思う。求められているのは、何があったのかを正直に認めることだ。

 私なら被爆者にこう言える。祖父は戦争を早期に終結させ、アメリカ人の命を救うことを最優先にして原爆投下を決断した。彼は日本人の命も救いたいと願ってはいたが、優先的に考えたのは自国民の命だ。

 私は祖父を敬愛している。だが一方で私には、その決断によってひどく傷つけられた友人たちがいて、彼らのことも敬愛している。被爆者たちは、祖父の決断によって大きく、大きく傷つけられた。

 オバマ大統領はこういう言い方もできるかもしれない。アメリカはすべきと思うことをやった。だが、それがもたらした傷についても認めないといけない。

 同じように、日本人も連合軍の戦争捕虜の扱いをめぐる問題を認めるのに苦労してきた。誰も悪者にはなりたくないし、なる必要もない。私は日本人が(アメリカ人の)戦争捕虜を傷つけた嫌な国民だなんて決して思わない。戦争捕虜を苦しめた日本人もいたが、それは日本人全員ではない。日本人を集合体として語ることはできない。

【参考記事】「オバマ米大統領は謝罪すべきだった」亀井静香衆院議員に聞く

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