最新記事

中国

「道路をまたぐバス」、中国で試験走行を実施

2016年8月5日(金)16時45分
高森郁哉

Stringer-REUTERS

 交通渋滞を緩和させる目的で、複数車線をまたぐ立体構造の大型バス「トランジット・エレベーテッド・バス」(TEB)を走らせる構想が、中国で進められている。

 このほど試験車両「TEB-1」が完成し、テスト走行を行った。中国国営の新華社通信が8月2日に報じ、米ニューズウィークをはじめ多くの国外メディアも取り上げている。

1台で300人を輸送

 報道によると、TEB-1は1両のみの編成で、全長22メートル、全幅7.8メートル、車高4.8メートル。上部の車内には300人の乗客を収容できるという。

 下半分はトンネル状になっているため、前方の道路が渋滞していても、TEBは止まらずに運行できる。逆に、利用客の乗降時にTEBが停車しているとき、後続の乗用車は車線を変更することなく車体の下を通り抜けられる。

 TEB-1の試験運行は、河北省秦皇島市で実施された。今回は300メートルの直線道路に設置された軌道の上を走行。なお、現在の車両でカーブを曲がれるかどうかは不明だという。

渋滞を30%緩和、建設費は地下鉄の5分の1

 TEBテクノロジー社でチーフエンジニアを務める宋有洲(ソン・ヨウジョウ)氏は、「TEBは交通渋滞を30%緩和できるうえに、建設費も地下鉄を新設する費用の約5分の1で済む」と主張している。

teb-transit-elevated-bus-china.jpg

Stringer-REUTERS

 TEBの構想は2010年、北京国際ハイテクエキスポで披露され、国際的に広く知られるようになった。新華社によると、ブラジル、フランス、インド、インドネシアの政府がすでにTEBに興味を示しているという。

 ニューヨークタイムズは5月に掲載した記事で、TEBテクノロジーが秦皇島市のほかにも、南陽、瀋陽、天津、周口の4市と、軌道の敷設を含む試験プロジェクトを実施する契約を結んだと伝えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ビジネス

NY外為市場=円・スイスフラン上げ幅縮小、イランが

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中