最新記事

2016米大統領選

サンダース支持者「諦めない」、ヒラリーよりもトランプを選ぶ者も

2016年7月28日(木)10時24分

 7月26日、バーニー・サンダース上院議員はペンシルバニア州民主党大会初日の25日、11月の本選でヒラリークリントン氏に投票するよう自らの支持者らに呼び掛けたが、ところが支持者の一部からはブーイングも上がり、サンダース氏がもはや自身が始めた「政治革命」をコントロールできなくなったことを印象付けた。写真は同氏の支持者ら(2016年 ロイター/Adrees Latif)

米大統領選の民主党候補指名でヒラリー・クリントン前国務長官と争ったバーニー・サンダース上院議員は25日の党大会初日、11月の本選でクリントン氏に投票するよう自らの支持者らに呼び掛けた。

ところが支持者の一部からはブーイングも上がり、サンダース氏がもはや自身が始めた「政治革命」をコントロールできなくなったことを印象付けた。

サンダース氏から支持表明を得たことはクリントン氏にとっては大きな勝利となったが、サンダース氏支持者の取り込みに不安を残した。

数百人のサンダース氏支持者は党大会の会場周辺で、クリントン氏の候補指名に反対するデモ行進を決行。サンダース氏の演説中には、同氏支持者とクリントン氏支持者の間で小競り合いも発生したという。

<埋め難い溝>

クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏の支持率が拮抗するなか、クリントン氏はこれまで以上にサンダース氏支持者の票が必要だ。

サンダース氏は指名レースの党員集会・予備選で1300万票を獲得。コロラド、インディアナ、ミシガン、ニューハンプシャー各州で勝利を収め、アイオワ州でも勝利の一歩手前に迫った。これらの州は11月の本選においても激戦が予想されるため、クリントン氏がトランプ氏に勝つには、サンダース氏支持者らの票の一部がぜひとも必要となる。

金融機関の規制強化や所得格差の是正を訴える運動に共感したサンダース氏支持者は、クリントン氏を多額の企業献金を受けている既存政界の代表として不信感を持っており、両者の溝は埋め難いのが現状だ。

6月末に公表されたロイター/イプソス調査によると、サンダース氏支持者のおよそ15%が、本選ではトランプ氏に投票すると回答。19%は、クリントン氏とトランプ氏のどちらも支持しないと答えた。

また、党指導部がサンダース氏妨害を画策していたことを示す電子メールが流出し、サンダース氏支持者は一段と態度を硬化させている。

<ヒラリーを投獄しろ>

サンダース氏がクリントン氏のもとで結束するよう支持者に呼び掛けると、一部の支持者からは抗議の声が沸き起こった。支持者の1人は「ヒラリーを投獄しろ」と書かれたTシャツを着て気炎を上げていた。

事態を重く見たサンダース陣営は電子メールを送って自制を訴えた。「ブーイングや背中を向ける行為、会場からの退出、そのほか同様の行為は、われわれの運動の信頼性を損ねる」と苦言を呈した。

*写真を更新しました。

(James Oliphant記者、Jonathan Allen記者 翻訳:吉川彩 編集:佐々木美和)



[フィラデルフィア 26日 ロイター]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米高官、中国レアアース規制を批判 信頼できない供給

ビジネス

AI増強へ400億ドルで企業買収、エヌビディア参画

ワールド

米韓通商協議「最終段階」、10日以内に発表の見通し

ビジネス

日銀が適切な政策進めれば、円はふさわしい水準に=米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に共通する特徴、絶対にしない「15の法則」とは?
  • 4
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中