最新記事

EU経済

「イタリア銀の危機、イギリスEU離脱が原因ではない」ドムブロフスキス欧州委員

2016年7月7日(木)10時14分

 7月6日、ドムブロフスキス欧州委員、英国のEU離脱決定の影響で、イタリアの銀行システムが危機的な状況に陥っているとの見方を否定。5月撮影(2016年 ロイター/Eric Vidal)

欧州委員会のドムブロフスキス委員(金融サービス担当)は、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響で、イタリアの銀行システムが危機的な状況に陥っているとの見方を否定した。欧州議会の経済委員会で述べた。

伊銀の問題は、継続的な収益力の弱さや巨額の不良債権が原因とし、その点は株価下落に反映されていると指摘。「これは新たな動向ではない。年初からすでに起こっていることだ」とし、英国のEU離脱決定が新たなシステミックな問題を引き起こしたとの見方を退けた。

イタリア政府は現在、投資家に負担を負わせることなく、ぜい弱な国内銀の資本増強を実施できるよう、欧州委員会と協議している。

欧州委は、リスクの高い金融商品を知らずに販売された消費者への補償など、個人投資家の保護措置に反対していない。だが公的資金による救済に関しては民間も損失を負担すべきと主張しており、年金基金など大口投資家に対する負担は免除できないとの立場を示唆している。

ドムブロフスキス氏は実施される措置は「イタリア政府の要請による」とした。

欧州の現行規定は、ストレステスト(健全性審査)で資本不足が指摘され、国内経済の「深刻な混乱」で銀行が市場での資金調達が困難な場合に限り、公的資金による資本増強を認めている。

ドムブロフスキス氏は同規定の制限を重ねて強調、柔軟な対応を求めるイタリア政府と対照的な姿勢を示した。

ドムブロフスキス氏は英国のEU離脱決定を受けて辞任したジョナサン・ヒル氏の後任で、正式就任は16日。



[ブリュッセル 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英米が420億ドルのテック協定、エヌビディア・MS

ビジネス

「EUは経済成長で世界に遅れ」 ドラギ氏が一段の行

ビジネス

独エンジニアリング生産、来年は小幅回復の予想=業界

ワールド

シンガポール非石油輸出、8月は前年比-11.3% 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中