最新記事

バングラデシュ

バングラデシュ人質事件の余波、繊維産業へ大打撃か

2016年7月4日(月)18時53分

7月3日、バングラデシュの首都ダッカで武装勢力が飲食店を襲撃し、外国人ら20人が死亡する事件が発生したことで、同国の主要産業である繊維業界の幹部からは欧米の主要顧客が関係の見直しに動くと懸念する声が上がっている。写真はバングラディシュの首都ダッカで2014年1月撮影(2016年 ロイター/Andrew Biraj)

 バングラデシュの首都ダッカで武装勢力が飲食店を襲撃し、外国人ら20人が死亡する事件が発生したことで、同国の主要産業である繊維業界の幹部からは欧米の主要顧客が関係の見直しに動くと懸念する声が上がっている。

 繊維産業はバングラデシュの輸出の約8割を占め、雇用者数は約400万人に上る。同国は先進諸国市場向けの衣料品の供給で中国に次ぎ世界第2位。

 一方、武装勢力による襲撃事件はこの1年半で大幅に増えており、自由なライフスタイルを謳歌する市民が主な標的となっている。

 アナンタ・ガーメンツのマネジングディレクター、シャヒドゥル・ハクエ・ムクル氏は「このような事件は間違いなく影響を及ぼすだろう。米国や中国のなどの輸入業者はセキュリティー面の懸念からバングラデシュ訪問に慎重になる」と話した。

 バングラデシュでは3年前に工場などの入ったビルが崩落し、1100人以上が死亡する事故が発生。その後の安全点検強化に伴う大量の工場閉鎖などを経て、繊維産業は回復の途上にある。

 しかし今回の襲撃事件で外国人の警戒感は高まった。

 バングラデシュ衣料製造業・輸出業者協会のモハンマド・シディクル・ラーマン会長は「これほどひどい事件は初めてだ。バングラデシュのイメージは大きく傷ついた。繊維産業には影響があるだろうが、どの程度かは現時点では言えない」とした。

 もっとも一部の業界関係者は、セキュリティー面の不安は対処可能で、製造業者はシンガポールや香港など海外で西側顧客と打ち合わせをするケースが増えると予想している。

 輸出会社ブラザーズ・ファッションのアブドゥラ・ヒル・ラキブ氏は、外国人がバングラデシュでの打ち合わせに懸念を抱くのは数カ月程度で、半年もすれば状況は元に戻るとの見方を示した。

 アパレル小売り大手のへネス・アンド・マウリッツ(H&M)と英小売り大手マークス・アンド・スペンサー(M&S) はいずれもバングラデシュでの操業にすぐに影響がでることはないとしている。

[ダッカ/ムンバイ 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産

ワールド

イラン交渉団がパキスタン到着、レバノン停戦要求 米

ビジネス

米国株式市場=まちまち、中東交渉控え様子見 ハイテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中