最新記事

ギリシャ債務危機

IMFが「支援撤退」の内部文書流出、ギリシャが説明要求

ウィキリークスがIMF幹部の会議内容を公開

2016年4月4日(月)10時28分

4月3日、内部告発サイト「ウィキリークス」は、国際通貨基金が欧州各国にギリシャ債務軽減を受け入れさせるために支援撤退の可能性を検討したことを示す内部文書を公開した。写真はギリシャのチプラス首相。3月撮影(2016年 ロイター/FRANCOIS LENOIR)

内部告発サイト「ウィキリークス」は、国際通貨基金(IMF)が欧州各国にギリシャ債務軽減を受け入れさせるために支援撤退の可能性を検討したことを示す内部文書を公開した。これを受けてギリシャは、支援をめぐる立場を明確に説明するようIMFに求めている。

ウィキリークスが公開した文書は、3月19日に行われたトムセン欧州局長やギリシャ担当のベルクレスク氏を含む、IMF幹部3人の協議内容とされている。

それによると、幹部らはギリシャ、ドイツ、欧州連合(EU)による4月合意を実現するための方法を協議。英国でEU離脱の是非を問う国民投票が6月に実施される前に、EUの債権団、とりわけドイツから債務軽減への合意を引き出すため、IMFがギリシャ第3次支援に加わらない可能性が示されたという。トムセン氏は「IMFなしで支援を進めるのか、もしくはIMFを支援にとどまらせるために、われわれがギリシャに必要と考える債務軽減を受け入れるのか」をメルケル独首相に問う、と述べている。

ギリシャ首相府の当局者はロイターに対し、「支援交渉でのIMFの公式なスタンスを明確にするよう、(チプラス首相が)ラガルド専務理事に書簡を送った」と述べた。

米ワシントンのIMFスポークスマンは2日、「リークや内部協議とされる内容」についてはコメントしないとした。その上で「われわれはこれまで、ギリシャの経済問題の解決に必要と考える内容を明確に示してきた。ギリシャが欧州のパートナーからの債務軽減を通じて一連の改革を行い、持続的成長を達成する方法だ」と述べた。

ドイツ政府と財務省の報道官は内部文書に関するコメントを控えた。

EUとIMFの指導者らは、ギリシャ改革などの進ちょくについてアテネで4日に協議を再開する。

ドイツのメルケル首相はベルリンで5日、ラガルド氏と会談する見通し。

[アテネ 3日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送日銀、金融政策の維持決定 食品高騰で25年度物

ビジネス

中国7月製造業PMIが低下、4カ月連続50割れ 国

ワールド

中国と「非常に公正な合意」へ、貿易協議順調とトラン

ビジネス

米政府、シェブロンにベネズエラでの事業認可付与 制
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 3
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中