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「核セキュリティ強化措置、近い将来発効へ」天野IAEA事務局長

テロリストが核拡散装置を爆発させる『ダーティーボム』への対策にも

2016年4月1日(金)11時03分

3月30日、IAEA天野之弥事務局長は、あと6カ国が「核物質の防護に関する条約」の改正を承認すれば、締約国が核施設や核物質の保護を強化することに法的拘束力が生じる、と語った。7日ウィーンで撮影(2016年 ロイター//Heinz-Peter Bader)

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は30日、あと6カ国が「核物質の防護に関する条約」の改正を承認すれば、締約国が核施設や核物質の保護を強化することに法的拘束力が生じる、と語った。

 天野事務局長は記者団に対し、セルビアとマーシャル諸島が30日に正式に承認し、数カ国が31日か来月1日に受諾書類を提出する予定のため、強化措置は「近い将来」に発効するとの見通しを示した。

 パキスタンは先週、条約改正を承認した。

 今週の核安全保障サミットに出席するため、米ワシントンに滞在中の天野事務局長は当地で講演し、改正承認は「核安全保障において極めて重要な一歩」になるとし、「発効すれば、テロリストが核拡散装置を爆発させる、いわゆる『汚い爆弾(ダーティーボム)』を引き起こす可能性が低くなる」と語った。

 核物質防護条約は10年前に152カ国が採択。天野事務局長はセキュリティ強化を盛り込んだ改正の早期発効を目指している。発効するためには締約国の3分の2にあたる102カ国の承認が必要になる。

 今回の改正は締約国に対し、核施設、および核物質の国内での使用や貯蔵、輸送の際の保護を義務づけている。また、盗難や密輸の被害に遭った核物質の発見や回収について、締約国間の協力を拡大するとしている。各国政府は破壊工作による放射能の影響を最小限に抑えるとともに、そうした攻撃を予防し、対抗することも義務づけられる。

 

[ワシントン 30日 ロイター]


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