最新記事

中国指導部

習近平のブレーンは誰だ?――7人の「影軍団」から読み解く

2016年4月25日(月)16時30分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

帝王師「影軍団」を率いる<紅い皇帝>習近平 Wong Maye-E-REUTERS

 習近平には7人の影のブレーンがいる。中でも突出しているのは王滬寧(おうこねい)だ。江沢民、胡錦濤と三代続けてブレーンを担ってきた。その王滬寧が、会議室の狭さから座席に関して劉鶴(りゅうかく)に便宜を図ったことが、あらぬ流言飛語となり物議をかもしている。真相は?

(以下、敬称はすべて省略する)

習近平の「影軍団」――7人の「帝王師」たち

 習近平には中共中央政策研究室主任の王滬寧というブレーンがいることは、中共中央で知らない者はいない。しかし、実はそれ以外にも、王滬寧を含めた「7人の影軍団」(7人のブレーン)がいることを知っている者は、そう多くはない。中国の巷では「影軍団」のことを「帝王師(ていおうし)」とささやく者もいる。「帝王師」とは「皇帝の老師(ろうし)」のことだ。皇帝を創りあげるための賢者で、控え目で目立たず、信頼のできる「切れ者」であることが要求される。これは中国古来からの習わしと言っていいだろう。

 では以下に7人の「習近平の帝王師たち」の名前を書いてみよう。

1. 王滬寧(おう・こねい)(1955年生まれ):中共中央政治局委員、中共中央政策研究室主任。江沢民政権の「三つの代表」、胡錦濤政権の「科学的発展観」の起草者。習近平の最高ブレーン。総設計師的役割をしている。

2. 栗戦書(りつ・せんしょ)(1950年生まれ):中共中央政治局委員、中共中央弁公庁主任、中共中央書記処書記。2012年9月、まだ胡錦濤時代だったときに令計画の失脚にともない昇格。

3. 劉鶴(りゅう・かく)(1952年生まれ):中共中央委員(政治局委員ではない)。中共中央財経領導小組弁公室主任、国家発展改革委員会副主任。習近平(1953年生まれ)が北京101中学で勉学していたときのクラスメート。胡錦濤時代から中共中央財経領導小組弁公室の副主任をしていて(2003年~2013年3月)、習近平政権になってから主任(2013年3月)になっただけで、そう飛び級的な出世をしているわけではない。しかし、幼馴染みということがあり、経済領域を裏でコントロールしていると言われている。かつてハーバード大学で公共管理修士取得。

4. 何毅亭(か・きてい)(1952年生まれ):中共中央委員会委員、中共中央党校常務副校長。校長の劉雲山に睨みを利かしている。

5. 丁薛祥(てい・せつしょう)(1962年生まれ):中共中央弁公庁常務副主任、総書記弁公室主任。2006年に上海市書記だった陳良宇が胡錦濤政権により逮捕投獄されたあと、2007年に習近平が上海市書記になったのだが、そのときに組織部部長だった丁薛祥は、陳良宇支持者が多い中国共産党上海市委員会の中で窮地に立たされている習近平を支え、上海市の政権を安定させた(このときの窮地に関しては『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』で詳述した)。そのため習近平の覚えめでたく、出世して中央にいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中